経営者・経理総務担当者向け 実務月刊誌ビジネス支援 第218号 | ||||||
≪CONTENTS≫
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税務調査は申告納税制度の下にあって納税者によって計算された課税標準や税額などが、適法に算出されたものであるかどうかを調査するものです。
具体的には、その課税標準や税額などを計算した会社の担当者に質問したり、帳簿書類その他の物件を調査する他、この会社と取引関係にあると認められる第三者に対しても、同じように質問し、調査することにより行われます。
このような税務調査は、申告納税制度の基盤となる課税の公平を維持する役割も負っています。
納税者の方も、税務調査を受身的に考えるのではなく、日常業務や社内管理体制を充実させるためのチェックとして利用することも必要でしょう。
なんら不正がなくても税務調査は気持ちのいいことではありません。 精神的負担も大きくイライラすることもあります。 調査官の質問に対して、高圧的になったり、へりくだったりしないように、常に自然に素直に対応しましょう。
態度や言葉使いは悪い調査官に対しては毅然と対応し、それでも改まらなければ、税務署長に抗議する旨を伝え、実行すればいいことです。高圧的な調査官には税務署長に電話1本。公務員はもめごとを好みません。税務署は極端に市民の声・納税者の声に気をつかうところです。
税務調査は、通常、次のように行われています。
下記の図を参照ください。
調査対象の選択は、概ね次のような観点で行っているといわれています。
帳簿・書類等の検証や現場・事務所等への立入調査
銀行・取引先等の調査
帳簿書類、領収書、請求書、契約書などの証憑類だけでなく、会社の現金や預金通帳、受取手形、有価証券、棚卸資産などの現物も調査の対象となります。
税務調査による指摘については、次のような点に注意しながら、税務当局と解決に向けて交渉します。
会社が申告内容の誤りなどを認めて、修正して申告すること
税務当局が調査により申告額や追加納税額などを決め、会社に通知すること
次回の税務調査では、同様の指摘を受けないよう、必要な業務改善を行なうとともに、会社全体に同様な事態の再発防止を周知徹底することが大切です。
● 経理・税務 |
従業員を新たに採用した場合には、社会保険などの加入手続きが必要です。
これらは、提出期限がありますので、必要書類について確認してみましょう。
まず、新入社員を採用した時は、以下の情報を確認し、もし必要な書類があれば提出をしてもらいます。健康保険証の発行など、時間がかかるものがありますので早めに確認しましょう。
新入社員の入社後、期限内に以下の書類の提出を行います。また、試用期間中であっても社会保険に加入することとなるため、手続きが必要になります。
【1】健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届
また、提出後、健康保険証が会社に届くまでに日数がかかりますが、その間でも緊急を要する場合には、「健康保険被保険者資格証明書交付申請書」を年金事務所に提出すると、「健康保険被保険者資格証明書」を即日交付してもらえます。
有効期限は20日間ですが、この資格証明書を医療機関に提示すれば、健康保険証を受け取るまで、自己負担額だけで受診することが出来ます。
【健康保険被扶養者(異動)届】
新入社員の入社後、期限内に以下の書類の提出を行います。また、試用期間中であっても雇用保険に加入することとなるため、手続きが必要になります。
【1】雇用保険被保険者資格取得届
なお、外国人の場合は雇用保険の取得・喪失手続きの際に、在留資格・在留期間について届け出ることが義務付けられているため、外国登録証明書などを早めに確認しましょう。
また、雇用保険適用事業所は、自動的に労災保険の対象となりますが、こちらは社員を新たに雇い入れた場合でも個別の手続きは不要となります。
添付書類として、賃金台帳、出勤簿(タイムカード)、雇用期間を確認できる資料(雇用契約書等)が必要となりますので、用意しておきましょう。
● 経営・財務(1) |
どのような業種でも共通しますが、経営会議で最初に管理すべきは、経費のうち金額が多い上位3つか4つの経費の管理です。飲食業であれば、原価・人件費・家賃・広告費等になります。また、細かい経費に目をやるのではなく、大きく3つか4つぐらいの経費の削減にまず手をつけましょう。飲食業の場合、仕入・人件費・家賃の三大経費が75%に収まることが損益分岐点と言われています。原価30%・人件費35%・家賃10%を目標にされている経営者も多いのではないでしょうか。飲食業界内でも場合によって異なり、高級店では、価格が高く仕入原価は低いですが、板前の人件費が高い傾向があり、低価格の店は、価格が低く原価率が高いがその分人件費が安い等、三大経費の構成比率は変わっても、トータル75%以内に収まっていなければ黒字経営になりません。
ここで貴社の三大経費の推移の年度を追ってみてはいかがでしょうか。自分の会社をこのような視点から分析すれば違った見方もできるはずです。
原価のコストダウンは調査から始まります。
人件費が適正かどうか、生産性の調査がまず必要です。売上総利益を社員数で割ってみましょう。売上総利益8,000万円の会社では社員{常勤役員を含め}が8人以下であれば、優秀な会社と言えます。1人1,000万円の売上総利益があれば、平均給与500万円前後が可能です。 しかし10人以上であれば、1人800万円以下の売上総利益しかなく、平均給与も400万円程度となり、ギリギリの状態ではないでしょうか。もちろん業種や業態、社員の年齢構成、社長の給与水準、男女比との兼ね合いも考慮して判断する必要がありますが自社の客観的水準を1人あたりいくらの売上総利益があるのかを常に知っておくことは重要です。
また人件費を変動費化することも重要です。お客さんや仕事の多い時に人を多く配置し、少ない時に必要人数しかおかないという人事配置が必要となります。これには過去のデータを取り、分析することが大切です。まず月ごとの売上推移・曜日ごとの売上推移・イベント等の売上変動をつかみ、それに応じてアルバイト・パートを適正に配置してみてはいかがでしょうか。そんな都合のいいアルバイトやパートはいないとおっしゃる経営者もいます。しかし低い時給で長時間勤務よりも、必要な時だけ短時間勤務で時給を高くした方が、より従業員が集まります。
また、経理や総務・業務等で季節変動のある場合、少し高くても、人材派遣を活用することも人件費を変動費化するコツです。
営業日報にアルバイト・パートの1時間あたりの売上を記載し、時間売上を算出しておき、ムダな人件費をなくす努力が必要です。
● 経営・財務(2) |
海外支社等へ勤務等の転勤で日本の健康保険や厚生年金に加入していて、日本と外国どちらにも社会保険料を支払う事になる「二重加入」の問題があります。
そこで保険料の掛け捨てにならぬよう日本と諸外国との間で社会保障協定が締結されています。
この社会保障協定は締結する相手国により内容は異なりますが、共通する年金制度事項の概要を説明します。
日本の会社から海外支社に派遣(転勤等)される場合は、原則は両国の社会保険に加入となりますが社会保障協定国との間では派遣先国の社会保障制度のみに加入する事を原則とし、派遣就労が一時的であれば派遣元国のみに加入します。
判断基準となる「一時的な派遣就労」とは派遣先国への派遣期間が5年を超えない見込みである事で、長期派遣により海外の派遣先国の社会保険に加入する場合には任意で日本の厚生年金保険や加入できる特別加入制度もあります。
たとえば、古くなった社用車を取締役個人の名義に変えるという場合は会社から社長への譲渡取引になりますが、本来であれば売却価値のあるものを、無償又は廉価で譲渡することにより会社が損害を受ける可能性があるため、利益相反取引になります。
また、取締役個人が持っている不動産や株式を会社名義に変えたいという場合も、無償譲渡でない限り利益相反取引になります。一見すると会社にとって有利に思われる低廉な価格での譲渡であっても、会社に支払いや負担がある以上、会社の利益を害する可能性があるため、承認が必要になるのです。
マイナンバー制度では日本に住民登録のあるすべての人に個人番号が付されます。
かつて外国人の方は「外国人登録制度」という外国人の住民専用の記録制度により情報が管理されていました。しかし、平成24年7月にこの制度が廃止され、現在は外国人も日本人同様、住民基本台帳で管理されていますので、外国人であっても住民登録が必要な90日以上の滞在許可を持つ方にはマイナンバーが付番されています。
マイナンバー導入については「会社に副業がばれてしまうか?」という不安の声が数多く寄せられていました。マイナンバー制度は役所等法律で決められた機関に対しての手続にしか使用できないとされています。たとえ役所側で副業を把握したところで、役所から勤務先へその事実を通知することは考えにくいため、制度の導入だけで副業が知られる可能性は低いとされているようです。
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