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 今月の特集

知っておきたい 相続税の基礎知識 〜相続人なき遺産の行方〜

相続税が課税される前提条件

 相続税の課税には、次のような前提があります。

  • 1.人の死亡により
  • 2.その亡くなった人の財産を受け継いだとき
  • 3.受け継いだ人にかかる

 つまり、人(被相続人)が死んだときに、残された財産に対し、それを受け継いだ人(相続人)に課せられる相続税です。人の死を待って最後の最後に課せられる税金が相続税なのです。

 相続税は一般的に非常に高いという印象をもたれていますが、その一方で基礎控除、配偶者の税額軽減、小規模宅地の評価減の特例、生命保険金や死亡退職金の非課税枠などが設けられています。

 なかでも配偶者の税額軽減は非常に大きく、法定相続分までの取得分には一切相続税がかかりません。

相続税対策はココを活かそう! 

  • 配偶者には税額軽減の借置がある
    ( 配偶者の取り分が法定相続内か、1億6,000万円までなら相続税はゼロ )
  • 基礎控除額が大きい
    ( 3,000万円+≪600万円×法定相続人の数≫で求める。基礎控除額内であれば相続税はゼロ )
  • 生命保険金や死亡退職金には法定相続人1人につき500万円までの非課税枠が設けられている
  • 一定規模以下の小規模宅地などでは評価を80%減か50%減できる
  • 被相続人の財産に債務があればその分を控除することができる

相続人になれるのは誰なのか

相続人となる人の範囲は配偶者と血族

 相続人となる範囲は、「配偶者相続人」と「血族相続人」に定められています。

 配偶者相続人は、配偶者、つまり夫から見たら妻、妻から見たら夫のことで、ただ1人です。血族相続人は1人ではなく、直系の子供や孫、直系の父母、祖父母、それと兄弟姉妹に限定されています。

血族相続人には順位がある

 血族相続人の相続順位は以下の図の通りです。

血族相続人順位図

相続税はかかる?かからない?

 相続税の鍵は基礎控除と自宅敷地の評価

 平成25年に亡くなった人は127万人。そのうち相続税がかかったのは5.4万人。相続税のかかる割合は約4.3%です。ざっくりと申し上げると、100人の方が亡くなって、相続税がかかるのはせいぜい5人、残り95人は相続税がかからないのです。

 時価1億5,000万円くらいの自宅(敷地100坪程度)と、その他の財産1,500万円くらいでしたら、ほとんど相続税はかかりません。

 「えっ!1.65億円もの財産があっても相続税はかからないの?」と思うでしょうが、実はそうなのです。順を追って説明いたしましょう。 

 かかる?かからない?判断ポイント@ 〜基礎控除〜</p>

 相続税は一定金額を超える財産を遺して亡くなった場合にかかる税金です。

 例えば、相続人が配偶者と子供二人で計三人のケースは財産額が4,800万円(相続税の基礎控除)まででしたら相続税はかかりません。

 4,800万円を超える財産を遺した場合に相続税がかかります。

 相続税の基礎控除は相続人の数によって決まります。具体的には「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で求めます。 

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スイッチOTC薬控除(医療費控除の特例)の創設

 先日発表された平成28年度税制改正大綱の中で、「セルフメディケーション(自主服薬)推進のためのスイッチOTC薬控除という項目があったのをご存知でしょうか。この控除は「医療費控除の特例」とも言われています。

 昔からある医療費控除は生計を一つにする家族で年間10万円(総所得金額200万円未満の人は、総所得金額の5%)を超える部分の金額が所得控除の対象でしたが、スイッチOTC薬控除(医療費控除の特例)は生計を一つにする家族でスイッチOTC薬と呼ばれる薬の購入代金の合計が1万2千円を超える部分の金額が所得控除の対象となります。

 今までの医療費控除は10万円を超えた場合のみにしか適用できませんでしたので、家族全員の医療費が対象になるとはいえ、なかなか適用される人は少ないという問題がありました。今回の特例は1万2千円を超えた場合に適用されるため、従来よりハードルが低くなりますので適用出来る人も増えるのではないでしょうか。

 今回はそんなスイッチOTC薬控除(医療費控除の特例)についてご紹介していきます。

●スイッチOTC薬控除(医療費控除の特例)

 今回、新たに導入されることになったスイッチOTC薬控除(医療費控除の特例)とは生計を一つにする家族で薬局やドラッグストア等でスイッチOTCと呼ばれる薬の購入代金の合計額が年間1万2千円を超えると、医療費控除と同じく確定申告により所得控除が受けられるという制度です。

 ただし、対象となる市販薬の種類(スイッチOTC薬)、利用できる人、利用期間、控除額、は、医療費控除とは異なり次のように決められています。

●スイッチOTC薬とは

 スイッチOTC薬控除(医療費控除の特例)の対象となる費用はスイッチOTCの購入金額です。

 スイッチOTCとは、聞いたことのない名称で連想することが難しいと思われますが、まずスイッチとは医療用の薬品として用いられていた薬品を安全性などに問題ないと判断されたので、薬局やドラッグストアなどで販売できるような一般用市販薬として使用できるように切り替えた(スイッチした)薬品のことを指します。

 そしてOTCとは英語の「Over The Counter:オーバー・ザ・カウンター」の略で、医師に処方してもらう医薬品ではなく薬局やドラッグストアなどでカウンター越しに薬を販売する医薬品をいいます。「大衆薬」「市販薬」と呼ばれているものがOTCにあたります。

 ですので、スイッチOTC薬とはもとは医師の処方でのみ使用することが可能であった医薬品が市販薬に切り替わり(スイッチして)薬局やドラッグストアなどで販売許可され一般でも購入できるようになった医薬品をいいます。有名なところでいうとスイッチOTCは花粉症治療薬の「アレグラ」や痛み止めとして有名な「ロキソニン」などがあげられます。

 これらのOTC薬のうち厚生労働省で告示された82の成分が含まれている薬がスイッチOTC薬控除(医療費控除の特例)の対象となります。告示されたのが成分のみにとどまり、どの医薬品が対象になるのか消費者の混乱を避けるため、厚生労働省では対象となる医薬品の公表を準備し、さらに対象となる医薬品にロゴマークを用いて分かりやすくすることを検討しています。

●利用できる人

 スイッチOTC薬控除(医療費控除の特例)を利用できる人は対象となる一定の取組を行っている人と規定されています。

 対象となる一定の取組とは次の健診等又は予防接種を受けている個人で病気の予防や健康増進に取り組んでいる人です。次のような健診等を受けていない方はスイッチOTC薬を購入していたとしても控除の対象とはなりません。取組は最低一つだけでよく、またスイッチOTC薬との紐付けまでは求められていないようです。

  • 特定健康診査(いわゆるメタボ健診等)
  • 予防接種
  • 定期健康診断(事業主健診)
  • 健康診査(いわゆる人間ドック等)
  • がん検診の受診

 上記の健診等を受けていることが要件となっていますが、申告書に健診等を受けた証明書などを添付するなどはまだ具体的には明示されていないので今後の動向に注意が必要です。

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経営者・経理担当者のための平成28年度税制改正
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傷病・出産手当金の計算方法の変更
今までとこれからの計算方法

 平成28年4月から健康保険の傷病手当金と出産手当金の支給額の計算方法が変更されました。支給開始される前1年間の給与を基に計算した金額で支給されます。

 今までの支給額の計算の方法は、

1日当たりの金額(休んだ日の標準報酬月額)÷30×3分の2

 これからの計算方法は以下となります。

1日当たりの金額(支給開始日以前の継続した12ヶ月間の各月の標準報酬月額を平均した額)÷30×3分の2

支給開始日以前の期間が12ヶ月に満たない場合

  1. 支給開始日の属する月以前の継続した各月の標準報酬月額 の平均値
  2. 28万円(当該年度の前年度の9月30日における全被保険 者の同月の標準報酬を平均した額)

 1と2を比べて少ない方の額を使用して計算します。

支給開始日以前に12ヶ月の標準報酬月額がある場合

 支給開始日以前の12ヶ月の各月の標準報酬を合算して平均額を算出します。

外国人留学生のアルバイト採用

学生アルバイトの応募が増える季節

 桜が終わり、あっという間に新緑の季節がやって来ました。新しい年度が始まって1ヶ月もすると学校生活もひと段落しますので、例年5月頃は学生のアルバイト応募数が多くなる時期のようです。

  日本学生支援機構(JASSO)の調査によると、近年は中国・韓国に加えて東南アジア出身の学生数増加もあり、平成27年度5月時点で日本に滞在する留学生は20万人を超え、外国人留学生のアルバイトを採用することも珍しくなくなりました。熱心に仕事へ打ち込む留学生も多く、人材不足に悩む企業にとってはとても有難い存在ですが、彼らの本分はあくまで学業。雇用主として、守るべきルールをしっかりと押さえることが必要です。

留学生なら必ず働けるわけではない

  外国人は、滞在目的に合わせた「在留資格(≒ビザ)」を有することで日本に滞在でき、留学生は「留学」という在留資格を持っています。この在留資格はその名の通り、勉強することが滞在の目的であり、本来は働くことが許されていません。

 しかし、事前に許可を得ることで、学業を阻害しない程度、具体的には週28時間以内(教育機関の長期休暇中は1日8時間以内)であれば、アルバイトをすることが認められます。これを「資格外活動許可」と言い、この許可を得たあとでなければアルバイトとして働くことはできません。




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