会計事務所NEWS No.90


会計事務所業界に吹く2つの風


 会計事務所の経営戦略を明確にするための第一歩は、会計事務所を取り巻く環境と自分の事務所の現況をしっかりと確認する作業になります。会計事務所の業界的動向は、税務面からみれば、富裕層に的を絞った所得税と相続税への増税、資産税需要と、財務コンサルの面からは経営革新等支援機関への多くの税理士の登録となります。

 相続税では、平成27年1月1日より基礎控除額のまま4割減という施行が焦点化していますが、実際は平成20年施行の小規模宅地評価減の特例の厳格化と、昨年末からの資産バブルによる大都市圏での土地価格の上昇と高齢者の増加による相続案件の増加からです。

 相続税は個人単位課税を原則とする国の税制にあって、最終課税であり、法人税・所得税・贈与税を節税してきた個人への最終処分税とも言える増税であるだけに不満も多く、今後、相続対策、資産防衛、資産管理、事業承継税制等の税理士へのニーズも高まってくるはずです。 会計事務所から見れば、これはまたとないビジネスチャンスであり、相続税申告業務だけにとどまらず、事前対策、財産管理、運用等の知識・情報・ネットワークづくりが必要となります。

 他方で、今年度3月末で終了した金融円滑化法後の対応として、経営革新等支援機関に登録されている税理士先生も6,000人を超えています。今後、7月参院議員選挙後金融機関のリスケ中の企業への経営改善計画・資金計画、10年以内の償還計画等の作成と履行圧力は強まるものと思われます。

 顧問先との再建計画、経営改善計画の作成、履行体制、モニタリングの仕組み、経営改善会議等、定例化は必至です。

 経営革新等支援機関と一緒に経営改善計画を策定すれば、200万円を上限に策定費用とモニタリング費用の2/3が中小企業に助成される制度がスタートされています。また、個人事業・中小企業にあって、経営革新等支援機関の指導・助言を受けて設備投資すれば、特別償却(30%)か税額控除(7%)受けることができます。

 応接セット、看板、テレビ、コピー機、電話設備、医療機器等ほとんど適用可能となりますので、経営革新等支援機関の認定を受けている事務所とそうでない事務所は大きく差がつくと思われます。まだ認定を受けていない事務所は絶対に受けておくべきです。


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