会計事務所NEWS No.76


選ばれる税理士 見捨てられる税理士

税理士を取り巻く環境が大きく変わっている。
顧問料の価格破壊が続き若い経営者を中心に選別志向が強まるなかで、
生き残る条件は何か?


 難関の公認会計士試験合格者の就職難民が増加しているとのことです。

 また、それらのほとんどの人が税理士業界に滑り込もうとしています。(週刊ダイヤモンド3月別冊)供給が増加しているのに需要が増加していないのは税理士業界も同じです。

 主要顧客である中小企業のマ−ケットはどんどん縮小しています。1980年代末から開業率が廃業率を下回る状況が続いているのです。特に近年の2006年からは廃業率は6.2%で、開業率は2.0%。中小企業の実質減少率は、4.2%となり、税理士の顧問先も、自然には4.2%減少していることになります。

 さらに悲惨なのは、税理士の数はどんどん増加しており、供給過剰であるにも関わらず、重要が急激に減少するため、過当競争となり、結果として、価格破格が進行しています。この不況期で毎月の顧問料を支払えない顧客は、値段が安い税理士に飛びつくことも少なくないのです。

 もちろん他の業界と同じく、インタ−ネットを活用しての価格破壊も進んでいます。

 しかし、税理士に対して値段が一義ではなく、財布の中身や経営の実態を分かってもらい、中小企業の経営の相談相手になってもらいたいという経営者も少なくないでしょう。

 資金繰り、経営改善、節税、投資、新規事業参入等、経営者と一緒になって考え、行動に移してくれる税理士を求める経営者の声も聞きます。

 決算・申告等は、どの税理士であっても結果に大きな差はありません。企業の経営者の経営の中身まで踏み込んだ経営相談は、オンリ−ワンの税理士の独断場です。

 それには、今の顧問先の1社、1社を事務所や自分の成長と重ね合わせる会計事務所の所長、職員の存在が前提となります。顧問先の経営数値に敏感に反応する第一歩は、顧問先の経営計画の作成と実績数値の詳細な把握です。顧客目線やサ−ビス業の自覚のない業界だけに、(早い・安い・丁寧・親切・適切)を心がければ、生き残れるチャンスはまだまだあるのです。


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