経営会議事例集 平成28年12月

経営の一番難しい判断…撤退・廃業

 採算悪化で、事業からの撤退・廃業する会社が増えています。

 戦争でも一番難しいのは敗戦時のしんがり、撤退時の戦いだそうです。

 豊臣秀吉が武威を高めたのは、信長の朝倉攻めで味方と思った近江の浅井氏が背後から攻めてきた時、決然としんがりを志願し、みごとに織田軍を無傷で京都へ撤退させた時です。
 実際は徳川軍や明智軍も頑張ったと言われていますが、商売も全く一緒です。

 儲かっている時・繁盛している時は、経営者はその波に乗って余計な事をしなければいいのであり、経営者の真価が試されるのは、儲かっていない時、不況の時、今までのやり方では行ってはいけないときなのです。

 経営管理面から撤退・廃業の判断を見てみましょう。

1.月次決算書、年次決算書を正しく見ること、自社の損益分岐点をつかむことです。赤字であれば、まず、固定的な経費、自分の人件費をいくら削減できるか、数値化し、絶対的な最低必要な固定費を算出します。
例としてこれ以上削減できない毎月の固定的な経費が100万円だとしましょう。
次に、原価等売上に比例して発生する原価を30%としますと、この会社は、毎月最低143万円の売上げが必要となります。100万円÷固定費比率(1−変動費率)=142.8万円 ≒143万円 この売上が現実的に可能かどうか考えてください。何か月あればこの売上に達するか見積もり、それまでお金が続くか、耐えられかを考え、撤退・廃業の判断をされる必要があります。
2.減価償却費を入れずに、経常利益がマイナスになった場合は、撤退・廃業も考えなければなりません。減価償却費はお金のかからない経費です。万が一経常利益が赤字でも減価償却費を入れずに黒字になったとすれば、お金の面では何とか持ちこたえることは可能です。
これが減価償却費を入れずに経常利益が赤字となれば、お金が出ていきます。このような会社はいずれ倒産します。改善する見込みがなければ一日も早く商売を畳む勇気が必要です。

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