経営会議事例集 平成28年8月

新規事業は本業の延長上に設定する

「隣の芝生はきれいに見える」ということわざがあります。

 商売で言うと、自分の仕事は厳しく、他の業種は楽そうに見えがちです。しかし、ほとんどの会社の新規事業はうまくいきません。もちろん成功した会社もたくさんあります。例えば 事務機のプラスが進出したアスクルやサッシメーカーが進出した住宅産業等々です。これらに共通するのは、メーカーが小売に進出したとか物づくりの発展上に新規ビジネスを立ち上げた等々本業の延長上にあることです。

 第一に、新規事業の難しさは、経営者が他の人に頼ることがまずあります。

 例えば同じ飲食業でも居酒屋の亭主から出発した会社が寿司屋を始めたら寿司職人が必要となります。寿司職人は居酒屋の亭主が寿司を握れないことを知っています。だからなかなか言うことを聞きません。会社の意思決定が届かないのです。

 中小企業で一番肝心なのは、社長が全社員辞めても会社を維持できる、するんだ、という強い決意と覚悟です。その経営者の求心力が会社を支えています。大工、飲食等職人を使う会社には絶対必要です。

 もちろん会計事務所は所長先生が1人でも事務所を維持するできることをみんな知っているので、権威があるのです。

 第二に、新規事業は商売の勘が働かないからです。なれない分野なので勝手が分らなくなります。

 長く下請商売をやってきた中小企業の夢は最終消費者に完成品を売り、メーカーになることです。

 商品・製品はできますが、問題は売り方や価格付け・包装・マーケティング等々、あまりに未知の分野が多く、費用も見積もれないので、先が見えない商売になって失敗してしまいます。

 第三に、現行の社員がついて来ないのです。

 社長が一生懸命やっても社員が今の仕事から抜け出ないのです。新規事業で赤字を出そうものなら不満がでます。本業に関係し、本業に還元できる仕事なら社員の納得も得られやすいのではないでしょうか。

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