税務と法務の接点

税理士業界にフォーカスした“税務と法務の接点

第6回 貸倒れと債権放棄(債務免除)の方法3―(1)
    〜内容証明郵便の相手の所在が分からない場合
     (意思表示の公示送達とは)〜


 前回は、内容証明郵便の相手方(債務者)が不在の場合について書きました。今回は、内容証明郵便の相手の所在が不明の場合について書いていきたいと思います。

 前回書きました通り、その内容証明郵便の内容である意思表示の効力は相手方に到達したときから効力を生じます(民法97条第1項)。
 相手方の所在がわからない場合には、「到達した」とすることはできず、意思表示の効力が生じないことになります。
 債権放棄(債務免除)をする際に、「相手方の所在がわからない」ということもあるかと思います。
 今回は、そのような場合に備えられた制度である「意思表示の公示送達」(民法98条)という制度について、説明したいと思います。

 「意思表示の公示送達」とは、意思表示の相手方が誰かわからない、または、相手方の所在がわからない場合に、意思表示が相手方に到達しなくても到達したものとみなして意思表示の効力を発生させるために認められている制度です。
 具体的には、簡易裁判所に申立てを行い、許可決定がでれば、書面が裁判所の掲示場に掲示され、かつ、その掲示があったことを相手方に通知する書面が市区町村役場の掲示場に掲示されます。そして、市区町村役場の掲示場での掲示を始めた日から2週間を経過した時に、意思表示の効力が発生するという扱いがなされます。
 具体的な提出書類や流れについては、各簡易裁判所が比較的わかりやすく解説していますので、ご参考にしていただければと思います。
(東京簡易裁判所:http://www.courts.go.jp/tokyo-s/saiban/l3/Vcms3_00000347.html

 少し長くなってしまいましたので、次回は「意思表示の公示送達」を行う場合の注意点について、解説したいと思います。