★売上1億円突破を目指す会計事務所の経営者・幹部のみなさまへ 売上1億円突破のための業績アップ実践レポート
一覧はこちら
第59回 「自分はいったい何者か?」を明確にする

 株式会社ooyaビジネスクリエイトの大谷(おおや)です。

 5月は31日が土曜日なので、6月2日が5月申告の期限ですね。件数が多い方は大変だったと思います。お疲れさまでした。


■「自分はいったい何者か?」を明確にする

 ここ数年、顧問先の廃業や解約、顧問料の値引き要請、新規契約単価のダウン等で、事務所の売上が下がってきて、とても不安な気持ちになっている方々も多いことと思います。

 そこに来て、様々な会社から、

「〇〇を付加して□千万売上アップ」とか、
「××で顧問先、年間□□件獲得!」

のようなDMが送られてきて、不安感のあまり、ついつい事業領域を広げてしまう事務所が多いようですが、みなさまの場合はいかがですか?

 そのお気持ちもわかりますし、別にそれが悪いことではありませんのでそれを否定はしませんが、もし私がみなさまに、「ところで〇〇さんの事務所のご専門は一体何ですか?」と尋ねたら、何と答えられますか?

 以前、歌手の矢沢永吉氏のあるインタビューを見た時に、矢沢さんが下記のように話されていました。

 「こういう仕事をしていると、我々の場合、芸能人とか、タレントとか、いろんな肩書きをつけられて、自分でも一体自分は何者なのか、何が何だかわからなくなってしまうところがあるのだけれども、最近自分は、『ああ、俺は歌手なんだなあ。この歌手という職業で子供を大学に行かせて飯を食っているんだなあ。』と気づいてから、俺は歌手であるということに誇りを持てるようになりました」

という趣旨のことを話されていました。(原文通りではありません。)

 私は、税理士のみなさまのようなプロフェッショナルサービスを提供する方は自らの専門スキルを極めることが職業であると考えております。

 もちろん、商売ですから、「職人」だけではいけないとも思っています。

 しかしながら、「自分は専門職である」という使命と誇りを横において、無節操に、事業領域を横へ広げて行くことは良いことではないと思っています。

 なぜならば、領域を広げれば広げるほど、専門家ではなくなって行くからです。

 辛辣な言い方をすれば、「本業が上手く行っていないサラリーマンが、副業に精を出すあまり、気付いたら本業の方も危うくなってしまった」というような状況へ自ら進んでいるのではないかと感じています。

 どんなお仕事でも、自らの道を極めずして一流になった方はいません。

 「専門家」ではなく、「事業家」として事業展開する覚悟があってやっている方は、別に構わないと思いますが、広げた先には多くの「税理士以外」の競合がいます。

 もし読者のみなさまが、専門家として大成したいならば、周りの雑音に影響されず、ご本業を中心に事業展開された方が、中長期的にも幸せになれると思います。