★売上1億円突破を目指す会計事務所の経営者・幹部のみなさまへ 売上1億円突破のための業績アップ実践レポート
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第36回 事務所拡大に向けて事業戦略を再構築する その4

 株式会社ooyaビジネスクリエイトの大谷(おおや)です。

 前回もちらっとお話しましたが、私がもともと「社員教育の仕事」をしておりました関係で、今でも様々な業界の方から「教育研修」のオファーがあります。

 中でも最近は、経営者・経営幹部の方々を対象に「営業力強化」のお話をさせていただくことが多いです。

 具体的には、「価格競争を回避するための商品説明力・価格交渉術実践講座」や新規開拓の手法を教える「新規開拓営業実践トレーニング」などです。

 手前味噌ですが、かなり具体的な話をしますのでお客様の評価は高いです(笑)。

 それゆえ、研修後の懇親会は自然と「経営相談」になってしまうのですが、多くの経営者の悩みは共通していて、

・既存客からの取引が減っている
・取引先自体が潰れてしまった
・値下げ要請が厳しく、単価が上がらない
・売り込みに行っても叩かれる

といった内容に集約されます。

 昨今の情勢を考えれば確かにそうだろうなと思います。

 ただ、私が驚いたのは、多くの経営者が「既存のお客様から仕事をもらうことしか考えていない」ということです。

 率直に言うと、仕事がないから、「お願いします、何か仕事をありませんか?」と既存顧客にお願いに行っているのです。

 ですから、ちょっと考えればおわかりいただけるように、「仕事を出してもいいけれど、率直に言っていくらになるの?」と尋ねられて、条件提示すると、更に叩かれてしまうのです。

 これはあまりにも本質的過ぎて、ちょっと申し上げにくいですが、多くの企業が、本意ではない価格でも取引を継続せざるを得ないのは、「新規開拓ができないから」のただ一言に尽きます。

 営業力がないことを見透かされているから取引先から叩かれるし、営業マンも弱腰になる、ただそれだけのことです。

 ですから私は、経営相談の際に、「新規開拓しなければ、買い叩かれるだけだし、この先もジリ貧ですよ!」と言いますが、その際必ず、「でもどうやったらいいのでしょう?」「どこに行ったらいいですか?」と尋ねられます。

 みんな営業の仕方がわからなくて困っているのですね。

 実はこれ、会計事務所でも同じで、最近、ご支援先の職員の方々に「付加価値の高い業務を目指しましょうよ!」と言いますと、必ず、「うちの顧問先にはそういう業務を求めているお客様はいない」とか、「そんな高い顧問料を払える人はいない」という答えが返ってきます。

 私は「今いる顧客を対象に」とは一言も言っていないのですが・・・。

 みなさん「既存客」だけで商売を組み立てようとしているのです。

 前回私は、失礼ながら「会計事務所業界も売れない営業マンと一緒」と言いましたが、今回の「値下げ競争に巻き込まれているのは営業力がないから」という本質も、会計事務業界にそのまま当てはまるようです。

 顧客の流動化が進んでいる今こそ、営業力の勝負だと思います。


■事務所拡大に向けて事業戦略を再構築する その4

 それでは今回も「事務所拡大に向けて事業戦略を再構築する」について考えて行きたいと思います。

 先ほどお伝えしました、経営者に対する経営相談の際に「新規開拓をするにはどうしたら良いですか?」と良く聞かれると書きましたが、その際私が申し上げるのは、「まずはターゲットを決めて、相手の困っていることを明確にして下さい」ということです。

 どうしてかと言いますと、またまた本質的な話ですが、「売れないのは提案が顧客ニーズに合っていないから」に尽きるからです。

 顧客の困っていることをきちんと捉えていればどんな時代でも必ず売れます。

 実はこれ、会計事務所でも全く一緒なのですが、従業員5人の会社と30人の会社では経営課題は同じでしょうか?

 会社を作って3年の会社と30年の会社でも興味・関心は同じでしょうか?

 答えは当然「否」ですね。

 それなのに、全ての法人をいっしょくたにして「一般的なテーマのセミナー」を打って集まると思いますか?

 「飲食業界のための○○セミナー」と打ち出しながら、「飲食業界」を「美容業界」に置き換えたらそのまま開催できてしまうようなセミナーで集客&受注できると思いますか?

 答えは容易に想像できますよね。

 つまり、ターゲットを決めないから、誰が顧客かわからない → 誰が顧客かわからないから顧客のニーズがわからない → 顧客のニーズがわからないから提案がわからない → 漠然とした提案だから顧客の心に響かず仕事にならない、という構図なのです。

 私は先程、「売れないのは顧客ニーズに合っていないから」と申し上げました。

 まずはターゲットを明確にして、顧客ニーズの洗い出しから始めましょうね。