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第35回 事務所拡大に向けて事業戦略を再構築する その3

 株式会社ooyaビジネスクリエイトの大谷(おおや)です。

 これまでも、勉強会の会員様やご支援先様の先生とお話をさせていただく機会は非常に多いのですが、それ以外の先生方とお話する機会はなかなかつくれていなかったので、最近は、意識的に日頃お目にかかれてない先生方ともお目にかかるようにしています。

 そして、実際に多くの先生とお話をさせていただくと、想像以上に多くの先生が「税理士マーケットに対する不信、税理士という職業に対する不信、ご自身の将来に対する不信」という3つの不信を感じていらっしゃることにとても驚かされます。

 確かに、法人数の減少、顧問料の低下、既存顧客の解約、売上の減少に反して重くのしかかる固定費・・・という現象を見ればうなずける部分もあるように思います。

 ただ、みなさまの顧問先様を例に見てみれば、「今儲かって仕方がない」などという業界が、いったいいくつあるというのでしょうか?

 もし仮に、ものすごく儲かっている会社があるとしても、「その業界自体が良い訳ではなく、その経営者が必死に知恵を絞って活路を見出しているから業績が良い」というだけなのではないでしょうか?

 私は、元々食品メーカーの営業で、前職のコンサルタント会社でも会計事務所のコンサルティングに着手する前は「営業会社の支援、営業マン教育」をメインでやっておりましたので、人一倍「営業」という職業には思い入れが強いのですが、そんな観点で、先程の3つの不信を口にされている先生方を目にすると、「これって売れない営業マンのモノの見方と同じだなあ」と強く感じます。

 何事も否定的な解釈からは否定的な展望しか生まれません。

 稲盛和夫氏も著書の中で(以下抜粋)

「現象というのは、ただ一つの事実しかないのですが、決して絶対的な事実だけが存在するのではありません。現象を観察する人の、心のフィルターを通して見るだけに、主観に左右され、ただ一つしかない事実が善にも悪にもなるということを、私たちも日常経験しています」

と記しています。

 税理士というお仕事は、たとえ厳しい状況の中でも「顧問先様と一緒に明るい未来を作って行くこと」が命題だと思いますので、サポートする先生ご自身のネガティブな自己イメージを払拭していただくことが、良い経営サポートを行う上では不可欠なように思います。

 私自身も、皆様に明るい展望を指し示せるように努力して参りたいと思います。


■事務所拡大に向けて事業戦略を再構築する その3

 前回に引き続き、今回も「事務所拡大に向けて事業戦略を再構築する」について考えて行きたいと思います。

 前々回はご自身のビジョン、前回はターゲットは誰か? について考えていただきましたが、みなさん非常に真剣に考えて下さっていて、お目にかかる多くの先生から「あれから考えちゃってねえ〜」とか「私の場合は○○なんですけど・・・」といった相談をいただきます。ありがたいことです。

 そこで今日は、前述の「3つの不信」をお持ちの先生があまりにも多いことに気付いたため、前回の「ターゲットの設定」をもう少し補足したいと思います。

 話は変わりますが、最近、安い記帳代行とか、「年一決算だけでいい」という法人が増えていたり、会計ソフトの高機能化などで「将来、税理士の仕事はなくなってしまうのではないか?」と思われていらっしゃる方も多いようですね。

 それについては、業績の良い先生も厳しい先生も、そういった心配はされていることと思います。

 ただ、「だからもうこの業界は駄目なんだ」とまで拡張して考えていらっしゃる先生方の場合は、「安い記帳代行や申告だけしてくれればいい」というようなお客様をメインターゲットに、事業を組み立てていらっしゃるのではないでしょうか?

 あるいは、お客様に「毎月来てくれなくても良いので安くしてもらえませんか?」と言わせてしまうようなサービスしか提供できていないから、「安い記帳代行や年一決算を希望されるお客様」が脅威になるのではないでしょうか?

 対して、前々回のレポートでもご紹させていただいたような、年間顧問料100万円以上の顧問先を今でもバンバン受注されているような先生は、恐らく「他の事務所は大変みたいだねえ」くらいしか思っていないのではないでしょうか?

 では、前者の汲々としている事務所とそうでない事務所の違いは何のか?

 それは、「低い自己イメージ」と「ターゲット選定の誤り」にあります。

 例えば、先生方ご自身が顧問先様とお話する場合、経営者の方とどんなお話をされていますか?

 恐らく、当面の資金繰りや、中長期的な資金の確保の相談、退職金の手当て、労務問題、売上アップ、経費の削減、時事的な話題など、そういう「経営課題」について話されているのではないでしょうか?

 そんな、経営者と同じ視点で経営相談ができる税理士の方が、「年一で十分」とか「毎月来なくて良いので申告だけお願いします」などと言われるでしょうか?

 言われる訳がないですよね。

 つまり、価値あるサービスを、価値を認めて下さるお客様に提供している限り、恐れることはないはずで、ご自分の提供するサービスに自信を持っている「自己イメージの高い先生」なら、低価格顧問や安い記帳代行会社などと、本来競合するはずはないのです。

但し、職員さんが提供するサービスレベルをコントロール出来ていない事務所の場合は、事務所全体としてはその限りではありません。

 そして、二番目の「ターゲット選定の誤り」ですが、なぜ、このご時世でも高単価のお客様ばかり開拓できる事務所があるのかと言いますとそれは、先生の「自己イメージが高い」ので、高い単価で契約いただける顧客をターゲットに、商品設計と販促活動を展開できるからです。

 自信を無くして自己イメージが下がると、営業マンの場合、本来狙うべき優良顧客にはアプローチせず、会いやすく行き易いお客様ばかりに会うようになります。

 購買力のあるお客様に会うためには努力が必要ですから、どうしても努力の要らない顧客ばかりに足が向いてしまうのですね。

 それは税理士業界も一緒でしょう。

 対して、自己イメージの低い先生は、「低価格を志向するお客様」や「会計事務所は申告だけしてくれればいいと思っているお客様 、いわゆる、税理士の価値を認識できない方」を対象に活動していますし、そもそも「このご時世に単価は上がらない」と思っていますから、高単価の受注などできるはずはないのです。

 ですから、話は戻りますが、再度、

・ご自身はどういうお客様と付き合いたいのか?
・事務所としてはどういうお客様を開拓したいのか?

をしっかりと設定し直し、それに見合った商品設計を考える、ということが必要になります。

 他業界に目を移せば、こんな厳しい環境下でも、所得の高いお客様を相手に業績を伸ばしているレストランもホテルもあります。

 確かに、このデフレ下で、牛丼やハンバーガーを食べている方が多いかもしれませんが、だからと言ってそこをメインターゲットに据える必要性はないと思いますし、明るい将来を望むなら、マーケットを変える努力をすべきと思います。

 すべては自己イメージと、そこから来るターゲット選定の誤りです。

 まずは、高い自己イメージを持ちましょう。