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第34回 事務所拡大に向けて事業戦略を再構築する その2

 株式会社ooyaビジネスクリエイトの大谷(おおや)です。

 前回、事業目的・ビジョン・事業観をまとめましょう、という内容を本文の部分で書きましたら、その後お目にかかる方々やメール等で「じっくり考えます」というご意見・ご感想を多数いただきました。

 そういえば先日、ワタミグループの創業者 渡邉美樹氏の講演を聴いたのですが、その際、渡邉氏も「自分の場合は、父親が経営する会社が倒産し、学校へ履いていく靴下すら買えないほど金銭的に苦労したため、『絶対社長になって父の敵をとってやる』というハングリー精神が必然的に身に付いた。だから、自分自身は目標や夢を持つことに困ったことはないけれども、今の恵まれた環境下にある子供たちに夢を持たせることは非常に難しいと感じる。」と言っていました。

 以前私は、目標達成には、

1)目標設定能力
2)目標達成能力
3)目標達成意欲

の3つが必要ということを書きましたが、世の中全体がハングリーな時代に比べ、目標設定能力が求められる時代になったということでしょう。

 「リーダーは夢を語れ!」とよく言いますが、人の上に立つということはメンバーに明るい未来や希望を示し、そこへとつながる一筋の道を示すことなのでしょう。


■事務所拡大に向けて事業戦略を再構築する その2

 前回に引き続き、今回も「事務所拡大に向けて事業戦略を再構築する」について考えて行きたいと思います。

 自分の事務所をどうしたいのか? という夢・目標、更にはその事業を通じて社会に、社員に、顧問先に一体何を提供したいのか? については、ゴールデンウィークを通じてお考えいただけたのではないかと思います。

 では、次に何を考えるべきか? ということですが、それは「ターゲット顧客を明確にする」ということです。

 例えば、特化事務所の場合ですと、医業とか介護とか社会福祉法人とか建設業とか整骨院・接骨院とかいろいろあるから比較的わかりやすいですよね。

 また、相続とか資産税とか事業承継とか、そういうテーマで事業ドメインを設定している方も比較的イメージしやすいですよね。

 問題は、大半の方が事業の中心に据えている「法人」です。

 みなさんのターゲットは誰ですか?

 恐らく、「誰ですか?」と聞かれて即答できた方は少ないのではないでしょうか?

 なぜなら、これまで大半の方が紹介を中心に「来る者拒まず」でやってきたと思われるからです。

 しかし、紹介もなかなか発生しなくなった昨今では、「地元で経営している一般法人」というくくりでは、漠然とし過ぎて何のアプローチもできません。

 そして、アプローチする術がないからお金を払って紹介会社に頼ることになってしまいます。

 ではどうすれば良いのでしょうか?

 それは「ターゲット顧客のプロフィールを明確に絞り込む」ということです。

 例えば、業種特化とまではいかなくても、「業界」程度なら絞れますよね。

 経営者の年代・年齢というのもありますね。

 経営者の性別によっても区分できますね。

 それから、創業からの年数でも絞れますね。

 創業者か、二代目・三代目でも絞れますね。

 年商や従業員数、事業所数等の規模でも絞れますね。

 まだまだ考えればいろいろ出てくるはずです。

 ここまで読んで、「面倒くさいな〜」と感じられた読者の方はいらっしゃいませんか?

 もしも、「面倒くさいな〜」と感じられた方がおいでになられたらお尋ねします。

 上記のような絞り込みをしないで、企業経営者に対し、どんな提案をしたら良いかが見えますか?

 また、ターゲットを絞り込まないで「見込み客が多数集まるような有益なセミナーを事務所で開催できますか?」

ということなのです。

 厳しい言い方かも知れませんが、価格で他事務所より安くしないと契約できないということは、見込み客に対して「税理士要りませんか?」というアプローチしかできていないということに他なりません。

 このレポートを長年読んでいただいている方の中にはおいでにならないと思われますが、ここまで書いても趣旨がご理解いただけない場合は、もしかしたらご自身の事業ドメインを「税理士の仕事は税務申告と適切な税務・会計のアドバイスである」と規程していらっしゃるのかもしれません。

 勿論、私も別にそれがいけないと言っている訳ではありません。

 ただ、世の多くの経営者の方が税理士の皆様に求めているであろう「税理士は経営相談ができる良きパートナー」という役割から逆算して考えると、相手の経営課題もわからない税理士の方に、相談するはずも仕事を依頼するはずもないということは自ずとわかってくると言えましょう。

ここでは「アドバイスは要らないからとにかく安く申告して欲しい」という経営者を対象に論じておりません。

 ですから、上記の趣旨をご理解いただけた皆様には、是非、「自分のお客様は誰で、どんなことに困っていて、うちの事務所ならどんなことでお役に立てるのだろう?」ということを突き詰めて考えていただければと思います。