インボイス登録370万件 免税事業者は想定の半分
政府は8月25日、インボイス(適格請求書)制度の円滑導入に向けた第3回関係省庁会議を開いた。財務省は、インボイス発行事業者への登録申請件数が、7月末までの累計で約370万件に達したと報告した。制度開始まで1カ月を切ったが、税務当局などは更に周知活動を強化する方針を示している。
財務省によると、課税事業者は全体の9割に当たる約278万件に達した。担当者は「ほぼカバーされていると認識している」と自信を見せる。
免税事業者は想定する約160万者の半数超となる約92万件に上った。日本商工会議所のアンケート調査を元に推計した課税転換の検討が見込まれる80万者も超えたことを強調している。
国税庁は、8~9月に登録するか迷っている免税事業者向けの相談会を全国の税務署で計1800回開催する予定だと公表した。9月からはオンライン説明会やウェブ上でのバナー広告なども拡充する。また、制度導入後もこれまで通り、軽微な記載不備を指摘するような税務調査は実施しない方針を改めて強調した。
中小企業庁は、免税事業者への2回目の意識調査結果の一部を公表。前回1月の調査よりもインボイス登録した割合が14%から35%に増加した。全体の調査結果は9月中に公表する予定。
また、インボイスに対応したITソフトの導入を支援する補助金の採択が約4万件に上り、足元で申請が増加傾向にあると説明した。税理士と直接やりとりできるオンライン相談窓口では、簡易課税制度を利用した場合の消費税額の計算方法など実務的な相談が増えているという。
公正取引委員会は、インボイス制度に関連して独占禁止法違反につながる恐れがあるとして注意した事例が、7月末時点で18件あったと明らかにした。日本たばこ産業(JT)とたばこ農家の事例も含まれる。
注意した原因は、免税事業者が取引先から一方的に取引価格の引き下げを通告された事例がほとんど。イラスト制作や農産物加工、手芸品店、人材派遣、造園、芸能などの業界の事業者を注意した。
提供元:エヌピー通信社