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少子化対策財源 岸田首相「消費増税は考えていない」

 岸田文雄首相は少子化対策を強化する2026年度までの3年間の財源について、増税はしない方針を明らかにした。この「集中取り組み期間」中は年間約3兆円が必要になる見込みだが、歳出削減を前提に、社会保険料の上乗せやつなぎ国債の発行などで賄うことを検討している。

 6月に閣議決定される経済財政運営と改革の基本方針「骨太の方針」に盛り込むべく、財源の議論が進められている。岸田首相は5月22日にあった「こども未来戦略会議」で、「消費税を含めた新たな税負担は考えていない」と増税を否定。あわせて「持続的で構造的な賃上げと官民連携による投資活性化に向けた取り組みを先行させる」と述べたが、社会保険料負担の増加は企業の賃上げや正規雇用の拡大に水をさすとの懸念が指摘される。

 少子化対策の柱とされるのが、児童手当の拡充だ。所得制限の撤廃のほか、現在は中学生までとなっている支給対象を高校生に広げ、16~18歳には一人当たり1万円の支給を検討している。また、3歳~小学生の第三子以降に支給されている月1万5000円を3万円に倍増する方針だ。

 一方で、児童手当の拡充に伴い、政府は年末に向けて、16~18歳の子がいる家庭に適用されている扶養控除を見直す。扶養控除は課税所得から38万円が差し引かれる制度だ。もともと民主党政権時代に、控除を廃止して現金給付に回すべきだという考えのもと、0~15歳までの子を持つ家庭が対象だった年少扶養控除は廃止された。控除は所得税非課税世帯には効果がなく、高所得世帯ほど恩恵が大きい。仮に手当が高校生まで延びて控除も併存することになれば不公平感が強まるとの見方もある。鈴木俊一財務大臣は会見で、児童手当と扶養控除について「関係を整理する必要がある」と述べ、控除の縮減や廃止を示唆した。ただし、少子化対策の財源目的ではない、とも否定している。

提供元:エヌピー通信社

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 岸田文雄首相は少子化対策を強化する2026年度までの3年間の財源について、増税はしない方針を明らかにした。この「集中取り組み期間」中は年間約3兆円が必要になる見込みだが、歳出削減を前提に、社会保険料の上乗せやつなぎ国債の発行などで賄うことを検討している。 6月に閣議決定される経済財政運営と改革の基本方針「骨太の方針」に盛り込むべく、財源の議論が進められている。岸田首相は5月22日にあった「こども未来戦略会議」で、「消費税を含めた新たな税負担は考えていない」と増税を否定。あわせて「持続的で構造的な賃上げと官民連携による投資活性化に向けた取り組みを先行させる」と述べたが、社会保険料負担の増加は企業の賃上げや正規雇用の拡大に水をさすとの懸念が指摘される。 少子化対策の柱とされるのが、児童手当の拡充だ。所得制限の撤廃のほか、現在は中学生までとなっている支給対象を高校生に広げ、16~18歳には一人当たり1万円の支給を検討している。また、3歳~小学生の第三子以降に支給されている月1万5000円を3万円に倍増する方針だ。 一方で、児童手当の拡充に伴い、政府は年末に向けて、16~18歳の子がいる家庭に適用されている扶養控除を見直す。扶養控除は課税所得から38万円が差し引かれる制度だ。もともと民主党政権時代に、控除を廃止して現金給付に回すべきだという考えのもと、0~15歳までの子を持つ家庭が対象だった年少扶養控除は廃止された。控除は所得税非課税世帯には効果がなく、高所得世帯ほど恩恵が大きい。仮に手当が高校生まで延びて控除も併存することになれば不公平感が強まるとの見方もある。鈴木俊一財務大臣は会見で、児童手当と扶養控除について「関係を整理する必要がある」と述べ、控除の縮減や廃止を示唆した。ただし、少子化対策の財源目的ではない、とも否定している。提供元:エヌピー通信社
2023.05.25 17:21:36