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台帳価格に沿った登免税が納付され、過誤納金は生じないと判示

 所有権移転登記又は持分全部移転登記の申請による登記について課される登録免許税の納付に過誤納金があったか否かが争点になった事件で名古屋地裁(角谷昌毅裁判長)は、固定資産課税台帳に登録された価格のある不動産の不動産登記についてはその価格を課税標準とした登録免許税が納付されており過誤納金は生じていないと判示、請求を棄却した。

 この事件は、鉄骨鉄筋コンクリート造地下3階付6階建の建物の各専有部分の区分所有権又は共有持分を売買により取得した法人が、 所有権移転登記又は持分全部移転登記の申請による登記について課されるべき登録免許税の額を固定資産課税台帳に登録された不動産の価格(いわゆる台帳価格)を基礎として算出し、同額を納付して登記を完了したのがそもそもの発端となった。

 その後、同法人は、各専有部分の台帳価格が各専有部分の時価と乖離しており、納付した登録免許税は過大であったと判断、過大に登録免許税を納付して登記等を受けた事実があるとして、登記機関に原処分庁に対して過誤納金の通知をすべき旨の請求をしたものの、登録免許税の過誤納はなく、 原処分庁からその通知をすることはできない旨の通知(拒否通知)を受けたため、国に対して、1)拒否通知の取消し及び過誤納金の通知をすることの義務付けを求めるとともに、2)これらの請求とは選択的に、過大に納付した税額と同額の支払いを求めて提訴したという事案である。

 法人側は、台帳価格が各専有部分の時価と乖離していること、また建物の台帳価格の算定に不備があることなどを理由に、台帳価格の決定が無効であるなどと主張して、拒否通知の取消しを求めたわけだ。

 判決はまず、台帳価格のある不動産の不動産登記の場合における登録免許税の課税標準たる不動産の価額は、 台帳価格の決定が無効である場合又は登録免許税法施行令附則4項に該当する場合でない限り、その不動産の台帳価格となり、 台帳価格のある不動産の不動産登記について台帳価格を課税標準とした登録免許税が納付されれば登録免許税について過誤納金が生ずることはないというべきであると判示。

 その上で、台帳価格の決定が無効であるということはできず、 建物につき同法施行令附則4項に該当する事情があることの主張立証がないことなどからも、登記に係る登録免許税の課税標準たる各専有部分の価額は台帳価格となり、同法人は登記をするに際し台帳価格を課税標準とした額の登録免許税を納付しているのであるから、 登記につき登録免許税を過大に納付した事実はないと判断、義務付けの訴えを不適法であるとして却下するとともに、 その余の請求はいずれも理由がないとして棄却した。

(2020.10.28名古屋地裁判決、平成31年(行ウ)第2号)

提供元:21C・TFフォーラム(株式会社タックス・コム)

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2023.02.27 16:47:48