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固定資産税の過払い 20年分の返済求め提訴

 計算ミスによって払い過ぎた固定資産税の返還を求めた集団訴訟が、大阪地裁で係争中だ。
 地方税上、税金の計算ミスがあった場合は過去5年分が返還される。しかし、国家賠償法に基づく裁判で認められれば、20年分まで返還を受けられるケースもある。大阪市内の幹線道路沿いにある土地の所有者らが、市が税金を減額できる補正を適用しなかったとして、払い過ぎた税金約1億円の返還を求めている。
 固定資産税の評価額は、国の評価基準や路線価を基に、市町村が実際の土地の価値などを調査し、実態に応じて補正をかけた上で市町村が決定する。
 幹線道路沿いの土地では、ビルなどの高い建物を建てやすいように容積率が高く設定されることがあり、その分路線価は高くなる傾向がある。だが容積率が低い土地が混在することもあり、一律の基準を適用すると、評価額が実際の土地の価格よりも高くなることがある。そのため、大阪市は固定資産評価実施要領で、一つの土地に容積率が混在する場合、土地評価額を3~34%減額する補正ができるようにした。
 裁判の原告となっている市民らは、所有している土地は容積率が混在しているにもかかわらず、容積率が高い方を基準に固定資産税が決められたとして、市に指摘をしたところ、過払いした税金の5年分が返還された。原告団は2020年、民法で請求可能な20年分の返還を認めてもらうために裁判を起こした。
 大阪市は現在、評価の実施要領の表現を、「補正できる」から「補正する」と表現を変えている。訴訟では、当時は補正をしなければならないとは定めていないとして反論している。だが、固定資産税は課税者が税額を決定する賦課課税方式を採っている。納税者が税のミスを発見するのは難しく、課税側には責任ある対応が求められる。

提供元:エヌピー通信社

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 計算ミスによって払い過ぎた固定資産税の返還を求めた集団訴訟が、大阪地裁で係争中だ。 地方税上、税金の計算ミスがあった場合は過去5年分が返還される。しかし、国家賠償法に基づく裁判で認められれば、20年分まで返還を受けられるケースもある。大阪市内の幹線道路沿いにある土地の所有者らが、市が税金を減額できる補正を適用しなかったとして、払い過ぎた税金約1億円の返還を求めている。 固定資産税の評価額は、国の評価基準や路線価を基に、市町村が実際の土地の価値などを調査し、実態に応じて補正をかけた上で市町村が決定する。 幹線道路沿いの土地では、ビルなどの高い建物を建てやすいように容積率が高く設定されることがあり、その分路線価は高くなる傾向がある。だが容積率が低い土地が混在することもあり、一律の基準を適用すると、評価額が実際の土地の価格よりも高くなることがある。そのため、大阪市は固定資産評価実施要領で、一つの土地に容積率が混在する場合、土地評価額を3~34%減額する補正ができるようにした。 裁判の原告となっている市民らは、所有している土地は容積率が混在しているにもかかわらず、容積率が高い方を基準に固定資産税が決められたとして、市に指摘をしたところ、過払いした税金の5年分が返還された。原告団は2020年、民法で請求可能な20年分の返還を認めてもらうために裁判を起こした。 大阪市は現在、評価の実施要領の表現を、「補正できる」から「補正する」と表現を変えている。訴訟では、当時は補正をしなければならないとは定めていないとして反論している。だが、固定資産税は課税者が税額を決定する賦課課税方式を採っている。納税者が税のミスを発見するのは難しく、課税側には責任ある対応が求められる。提供元:エヌピー通信社
2023.01.26 16:08:53