四日市市のふるさと納税専門職員募集で浮上した「返礼品」
三重県四日市市が任期付職員として、「ふるさと納税・シティプロモーション戦略プロデューサー」の募集をしていることが話題になっている。採用予定人員は1名、年収は1千万円程度。応募受付は1月29日まで。本年4月1日採用で任期は1年間だが更新もある。四日市市の募集要項によると職務内容は、1)新規返礼品の発掘・開拓、2)ふるさと納税の寄付額増収に向けた取組みの企画・立案、3)企業版ふるさと納税の推進に向けた企業訪問・企業開拓など。
昨年12月23日から募集を受け付けているが、そもそも募集を始めたのは、四日市市に対するふるさと納税の寄付金額を、市民による他の自治体への寄付金額が上回った結果、税収が減ってしまっている現状を打開するため。
同市の森智広市長は、返礼品目的となり自治体同士の競争が過熱しているふるさと納税に、一定の規律を設けていくべきとの考えだが、何も手を打たなければ減収が拡大するのは目に見えていることから苦肉の策として専門職員の募集に踏み切ったようだ。
ふるさと納税専門職員募集で、改めて問題として浮き上がったのが「返礼品」。平成20年度税制改正で創設されたふるさと納税制度の趣旨は、ふるさとや地方団体の様々な取組みを応援する気持ちを形にするというものだったが、納税者が、より魅力的な返礼品を提供する自治体にふるさと納税として寄付をするのはごく当然の成り行き。
返礼品については、これまで返礼割合(寄付額に対する返礼品の調達価格の割合)3割以下や返礼品は地場産品とするなどの基準見直しが行われ、違反した自治体に対しペナルティーを与えるなど適正化への取組みが行われてきた。ただし、今後、ふるさと納税の利用者がさらに拡大すれば、基準をクリアしたうえでの自治体間のふるさと納税争奪戦による税収問題が深刻化する恐れもある。政府は新たな対策を迫られるかもしれない。
提供元:21C・TFフォーラム(株式会社タックス・コム)