会計検査院が税の徴収過不足1億6217万円を指摘
会計検査院が11月7日に内閣に送付した令和元年度決算検査報告における財務省に対する不当事項によると、検査した46税務署において納税者69人から税の徴収過不足が1億6217万円(徴収不足1億6062万円、徴収過大154万円)あったことがわかった。
納税者が申告した所得金額や税額等の誤りの見過ごしや、法令等の適用の検討不十分、課税資料の収集・活用の不的確などが過不足の原因で、検査結果を受けこれらの額は全て徴収や支払決定の処置がとられている。
過不足件数・税額が最も多かった税目は、法人税の28件(徴収不足が27件8129万円、徴収過大が1件96万円)で、そのうち「法人税額の特別控除」及び「交際費等の損金不算入」に関するものがそれぞれ11件を占めている。
このうち法人税額の特別控除での事例を見ると、A社の場合、令和元年8月から2年7月までの事業年度分の申告で、当該事業年度の国内雇用者に対する給与等の支給額(雇用者給与等支給額)15億8352万円が前事業年度の国内雇用者に対する給与等の支給額(比較雇用者給与等支給額)14億7236万円を上回るなどとして、雇用者給与等支給増加額1億1115万円の15%相当額1667万円を法人税額から控除していた。
しかし、A社の前事業年度分の申告書に添付された明細書等によれば、雇用者給与等支給額から控除すべき適正な比較雇用者給与等支給額は14億8745万円だった。そのため、適正な雇用者給与等支給増加額は9606万円と算出され、法人税額の特別控除額はその15%相当額の1440万円となり、226万円過大となっているのに、税務署はこれを見過ごしたため、法人税額が徴収不足になっていた。
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