エコカー減税 ガソリン車除外に業界反発
年末に行われる2023年度の税制改正に向け、各省庁や業界団体の要望が出そろいつつある。注目されているのは来春期限を迎えるエコカー減税など自動車関連の税制だ。現行制度では自動車の燃費性能に応じて免税や減税を適用できる措置で、ガソリン車も対象となっている。脱炭素政策として政府は35年までに乗用車の新車販売を全て電動自動車にする目標を掲げており、政府内には適応範囲を狭めたい考えもあるが、業界団体は延長を求める。
車検時に納める自動車重量税などを軽減するエコカー減税は、電気自動車(EV)や燃料電池車(FCV)など電動自動車であれば車検2回目まで免税、ガソリン車の場合は燃費基準に応じて免税か減税となる。ほかには、購入翌年度の自動車税や軽自動車税を燃費性能に応じて軽減する「グリーン化特例」も23年春が期限だ。
前回減税措置の期限を迎えた21年度の与党税制改正大綱には、車体課税について、「(脱炭素などの)変革に向けた自動車産業の対応や環境整備に貢献するものでなくてはならない」と指摘。その上で、「次のエコカー減税等の期限到来時に抜本的な見直しを行うことを前提に、一定の猶予期間を設ける」としており、大きな方向性が与党の税制調査会で話し合われる見込みだ。
政府方針の脱炭素を進めるなら、適用範囲をEVやFCVなどに限定すべきとの声も政府内にはある。一方、自動車業界からの反発は強い。日本自動車工業会が9月に公表した税制改正要望では、「足元の脱炭素化を確実に推進するため対象を絞り込まずエコカー減税・グリーン化特例を拡充、延長すべき」と強調された。
ほかにも、電動自動車や高燃費の車の普及による税収減や、老朽化した道路の維持修繕費用をどうまかなうか、中長期的な問題もある。受益者負担の観点から、自動車ユーザーが財源となる税を負担すべきとの声もあり、与党税調がどこまで結論を出せるか、議論の行方に注目が集まる。
提供元:エヌピー通信社