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政府税調 相続・贈与税の専門家会議設置 中里会長「暦年課税廃止の議論ではない」

 政府税制調査会は9月16日、相続税・贈与税のあり方を議論する専門家会議を設置すると発表した。座長には増井良啓東京大教授が就く。日本税理士会連合会の神津信一会長も特別委員として参加する。資産移転の時期によって税負担が異なるため、中立性が問題視されている相続時精算課税と暦年課税のあり方について議論が深められる。政府税調が2023年1月の任期までにとりまとめる中期答申に盛り込まれる見込みだ。
 相続税と贈与税を巡っては、①資産の再分配機能の確保、②資産の世代間移転の促進――の観点から見直しの議論を求める声が20年ほど前から政府内にはある。与党の2022年度税制改正大綱にも見直しが必要とする考えが盛り込まれている。
 現行制度では、相続税よりも贈与税の税率の方が高く、若年層への資産移転が進みにくい。また、贈与税の課税方式は暦年課税と相続時精算課税の選択制となっている。前者では被相続人の死亡前3年以内の贈与には相続税を、それ以前の贈与は年単位で贈与税を課税し、年110万円まで控除される。後者では、累積の贈与額2500万円までは非課税とし、相続時に累積贈与額を加算して相続税を課税する仕組みになっている。この課税方式では、贈与と相続の税負担が大きく異なるため、資産移転の時期の選択により中立的ではないことが問題視されている。
 日本税理士会連合会も今年2月、相続税・贈与税のあり方に関する答申を公表。相続時精算課税の利用は低迷しており、制度導入時の若者世代への資産移転という目的が達成されていないなどと指摘。課税方式のあり方を検討する必要があるとしている。
 政府税調の中里実会長は16日の記者会見で、「暦年課税や基礎控除の廃止といった懸念も一部であるようだが、そういった議論を行うのではない。より中立な税制構築にむけた議論を期待する」と述べた。

提供元:エヌピー通信社

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 政府税制調査会は9月16日、相続税・贈与税のあり方を議論する専門家会議を設置すると発表した。座長には増井良啓東京大教授が就く。日本税理士会連合会の神津信一会長も特別委員として参加する。資産移転の時期によって税負担が異なるため、中立性が問題視されている相続時精算課税と暦年課税のあり方について議論が深められる。政府税調が2023年1月の任期までにとりまとめる中期答申に盛り込まれる見込みだ。 相続税と贈与税を巡っては、①資産の再分配機能の確保、②資産の世代間移転の促進――の観点から見直しの議論を求める声が20年ほど前から政府内にはある。与党の2022年度税制改正大綱にも見直しが必要とする考えが盛り込まれている。 現行制度では、相続税よりも贈与税の税率の方が高く、若年層への資産移転が進みにくい。また、贈与税の課税方式は暦年課税と相続時精算課税の選択制となっている。前者では被相続人の死亡前3年以内の贈与には相続税を、それ以前の贈与は年単位で贈与税を課税し、年110万円まで控除される。後者では、累積の贈与額2500万円までは非課税とし、相続時に累積贈与額を加算して相続税を課税する仕組みになっている。この課税方式では、贈与と相続の税負担が大きく異なるため、資産移転の時期の選択により中立的ではないことが問題視されている。 日本税理士会連合会も今年2月、相続税・贈与税のあり方に関する答申を公表。相続時精算課税の利用は低迷しており、制度導入時の若者世代への資産移転という目的が達成されていないなどと指摘。課税方式のあり方を検討する必要があるとしている。 政府税調の中里実会長は16日の記者会見で、「暦年課税や基礎控除の廃止といった懸念も一部であるようだが、そういった議論を行うのではない。より中立な税制構築にむけた議論を期待する」と述べた。提供元:エヌピー通信社
2022.09.28 17:36:55