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金融庁 NISA恒久化と拡大を要望

 金融庁は8月31日に締め切られた2023年税制改正要望で、少額投資非課税制度(NISA)の恒久化や非課税限度額の拡大などを求めた。NISAの拡充を通じて、岸田文雄首相が打ち出す資産所得倍増プランの実現につなげる狙いだ。
 岸田首相は5月のロンドンでの講演で「投資による資産所得倍増を実現する」と表明した。現預金として眠ったままの日本の個人金融資産約1000兆円を株式や投資信託などへの投資に振り向けて企業価値を向上させ、配当を通じて家計に恩恵をもたらす思惑だ。
 金融庁は、国内で物価下落(デフレ)の傾向が強まっていた2003年から「貯蓄から投資へ」というスローガンを打ち出し、バブル崩壊後の低成長が続く中で個人の資産形成を促した。が、家計金融資産の現預金割合は1999年の50.9%から大きく変わることなく20年以上が経過している。急速な株高が進んだ「アベノミクス」下でも投資への流れは強まらなかった。
 金融庁はNISAの拡充や金融教育の普及などを通じて、国民が投資しやすい環境を整えようとしている。ただ、過去30年間の日米株価の伸びを比較すると、米国の代表的な株価指数であるダウ工業株30種平均の10倍に対し、日経平均は約1.7倍にとどまっている。貯蓄から投資に資金が向かっても、投資した企業の株価が上がらなければ、国民の中長期的な資産形成は実現しない。
 NISAなどの金融インフラを「小手先」で整えるだけではなく、デジタル化や雇用の流動化、労働生産性の向上など日本経済の復活に向けた抜本的な改革を実行に移し、日本企業の成長と株価の上昇を目指すことが、国民に投資の果実をもたらすことにもつながるとも言えそうだ。

提供元:エヌピー通信社

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 金融庁は8月31日に締め切られた2023年税制改正要望で、少額投資非課税制度(NISA)の恒久化や非課税限度額の拡大などを求めた。NISAの拡充を通じて、岸田文雄首相が打ち出す資産所得倍増プランの実現につなげる狙いだ。 岸田首相は5月のロンドンでの講演で「投資による資産所得倍増を実現する」と表明した。現預金として眠ったままの日本の個人金融資産約1000兆円を株式や投資信託などへの投資に振り向けて企業価値を向上させ、配当を通じて家計に恩恵をもたらす思惑だ。 金融庁は、国内で物価下落(デフレ)の傾向が強まっていた2003年から「貯蓄から投資へ」というスローガンを打ち出し、バブル崩壊後の低成長が続く中で個人の資産形成を促した。が、家計金融資産の現預金割合は1999年の50.9%から大きく変わることなく20年以上が経過している。急速な株高が進んだ「アベノミクス」下でも投資への流れは強まらなかった。 金融庁はNISAの拡充や金融教育の普及などを通じて、国民が投資しやすい環境を整えようとしている。ただ、過去30年間の日米株価の伸びを比較すると、米国の代表的な株価指数であるダウ工業株30種平均の10倍に対し、日経平均は約1.7倍にとどまっている。貯蓄から投資に資金が向かっても、投資した企業の株価が上がらなければ、国民の中長期的な資産形成は実現しない。 NISAなどの金融インフラを「小手先」で整えるだけではなく、デジタル化や雇用の流動化、労働生産性の向上など日本経済の復活に向けた抜本的な改革を実行に移し、日本企業の成長と株価の上昇を目指すことが、国民に投資の果実をもたらすことにもつながるとも言えそうだ。提供元:エヌピー通信社
2022.09.01 16:05:14