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近傍宅地価格は類似不動産の価額とは認められないと判断

 登記官の認定額が、登録免許税の課税標準になる土地の価額として過大であるか否かの判断が争われた事件で国税不服審判所は、原処分庁が固定資産課税台帳に登録された価格のない土地の登録免許税の課税標準額の算定の基とした近傍宅地価格は、類似する不動産の価額とは認められないと判断、登記によって納付された登録免許税に係る還付通知をすべき理由がない旨の通知処分の全部を取り消した。

 この事件は、土地の所有権の移転を受けた者(審査請求人)が、土地の所有権移転登記を受ける際に納付した登録免許税の額が過大であったとして、原処分庁に対して所轄税務署長に対する還付通知をすべき旨の請求をしたところ、原処分庁が還付通知をすべき理由がない旨の通知処分をしてきたことから、請求人がその通知処分の全部取消しを求めて審査請求したという事案である。

 原処分庁側は、固定資産課税台帳に登録された価格(台帳価格)のない土地の所有権移転登記に当たって、登記官が登録免許税法施行令附則3項の規定により、土地が所在する自治体の長がその土地に類似するとした宅地の台帳価格(近傍宅地価格)を基に算定した登録免許税の課税標準価額は適正である旨主張して審査請求の棄却を求めるとともに、登録免許税の税額は登記の時に確定するものであるから、その後の事情により評価額が変更したとしても、それをもって登録免許税法31条2項に基づく還付通知の請求をすることはできないという主張も展開した。

 裁決は、近傍宅地価格は、本件で争われている土地が不整形な雑種地であることを考慮したものではないから類似する不動産の価額とは認められず、土地の課税標準価額は、その土地を固定資産評価基準に定める評価方法に従って算定した台帳価格相当額とすべきであると判断して、登録免許税に係る還付通知をすべき理由がない旨の通知処分の全部を取り消した。

 つまり、固定資産課税台帳に登録された価格のないこの事件で争われてきた土地の所有権移転登記に係る登録免許税の課税標準については、原処分庁が算定の基礎とした本件で争われている土地の形状等が考慮されていない土地に類似するとした宅地の台帳価格(近傍宅地価格)ではなく、本件で争われている土地を固定資産評価基準に定める評価方法に従って算定した台帳価格相当額とすべきであると判断したことがポイントになった事案である。

 その結果、審判所が認定した登録免許税の額との差額については、登録免許税の課税標準又は税額の計算が国税に関する法令の規定に従っていなかったことによる過誤納と認められると判断、原処分の全部を取り消している。

(2021.06.25 国税不服審判所裁決)

提供元:21C・TFフォーラム(株式会社タックス・コム)

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2022.08.22 15:42:16