新型コロナ特例猶予制度の影響で滞納残高は2年連続の増加
国税庁は8月5日に令和3年度租税滞納状況を公表したが、これによると滞納の処理額が増加に転じたものの滞納残額は2年連続して増加していることがわかった。
新規発生滞納額は、新型コロナウイルス感染症による収入減で納税を最大1年間の納税猶予の特例制度が影響して7527億円と前年度に比べて27.2%の大幅に増加した。この結果、徴収決定済額(申告などにより課税されたものの額)に占める新規発生滞納額の割合である滞納発生割合も、前年度を0.2ポイント上回る1.1%と平成30年度以来の1%超えとなっている。
一方、整理済額は、新型コロナウイルス感染症の影響による納税困難者への猶予制度終了に伴い、特例制度の適用者に対して納付指導を進めたことや、コロナ禍以前に効果を上げていた新規滞納者への電話催告をはじめとする滞納整理が行えたため5年連続の減少から一転、34.2%も前年度を上回る6956億円となっている。
しかし、滞納処理(整理済)額が新規発生滞納額を下回ったため、今年3月末の滞納残高は8857億円と前年度に比べ6.9%増えて2年連続増加している。税目別にみると、消費税3551億円、所得税3529億円、法人税1180億円、相続税517億円となり、所得税を抜いて消費税が最も多くなっている。消費税は新規発生滞納額全体の53%と半数を超えていることから、いかに国税当局にとって消費税の新規発生滞納を抑えるかが滞納残高減少のポイントだ。
提供元:21C・TFフォーラム(株式会社タックス・コム)