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全国に広がる「法定外税」 総務大臣との綱引きも

 自治体が独自に財源を確保するため、条例を定めて課税する「法定外税」導入の動きが全国で広がっている。地方分権の流れの中で2000年に地方税法が改正され、より自治体が取り組みやすい仕組みになった。しかし課税には総務大臣の同意が必要とされており、岡山県美作市が導入しようとしている全国初の「太陽光パネル税」を巡っては、総務省が課税対象となる事業者と再協議するよう6月10日、同市に通知を出す事態となっている。
 地方税法改正によって、同法で定めた税目以外に、自治体は条例によって新たな税目を創設できるようになった。使途を特定しない法定外普通税を許可制から総務大臣の同意を必要とする協議制に改め、また使途を特定する法定外目的税が新設された。宿泊税や遊漁税など、22年4月時点で16種類の法定外税があり、34都道府県と19市区町村が課税をしている。このほか、滋賀県では「交通税」、山梨県では地下水への課税の議論が出ており、独自課税の動きは近年活発化している。
 法定外税には要件も定められている。総務省によると、01年に横浜市が新設しようとした「勝ち馬投票券販売税」に対し同省は不同意とした。地方税法では、法定外税導入の要件を、国の経済施策に反していないこととしている。馬券の販売利益は畜産振興に使われるため、これが国の経済施策にあたるとして農林水産省が反対したことが背景にある。
 総務省は自治体に大口納税者となる事業者の理解を得るよう求めている。太陽光発電施設が相次いで建設されている岡山県美作市では、「太陽光パネル税」創設を盛り込んだ市条例案が21年12月の市議会で可決された。だが、課税対象のメガソーラーの運営事業者からの理解が十分ではないとして、同省は市に対し、再度協議をするよう通知した。
 財政が厳しい中、地方自治体は過疎化など対応すべき社会課題を多く抱える。だが、負担が増える課税にあたっては丁寧な合意形成も求められている。

提供元:エヌピー通信社

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 自治体が独自に財源を確保するため、条例を定めて課税する「法定外税」導入の動きが全国で広がっている。地方分権の流れの中で2000年に地方税法が改正され、より自治体が取り組みやすい仕組みになった。しかし課税には総務大臣の同意が必要とされており、岡山県美作市が導入しようとしている全国初の「太陽光パネル税」を巡っては、総務省が課税対象となる事業者と再協議するよう6月10日、同市に通知を出す事態となっている。 地方税法改正によって、同法で定めた税目以外に、自治体は条例によって新たな税目を創設できるようになった。使途を特定しない法定外普通税を許可制から総務大臣の同意を必要とする協議制に改め、また使途を特定する法定外目的税が新設された。宿泊税や遊漁税など、22年4月時点で16種類の法定外税があり、34都道府県と19市区町村が課税をしている。このほか、滋賀県では「交通税」、山梨県では地下水への課税の議論が出ており、独自課税の動きは近年活発化している。 法定外税には要件も定められている。総務省によると、01年に横浜市が新設しようとした「勝ち馬投票券販売税」に対し同省は不同意とした。地方税法では、法定外税導入の要件を、国の経済施策に反していないこととしている。馬券の販売利益は畜産振興に使われるため、これが国の経済施策にあたるとして農林水産省が反対したことが背景にある。 総務省は自治体に大口納税者となる事業者の理解を得るよう求めている。太陽光発電施設が相次いで建設されている岡山県美作市では、「太陽光パネル税」創設を盛り込んだ市条例案が21年12月の市議会で可決された。だが、課税対象のメガソーラーの運営事業者からの理解が十分ではないとして、同省は市に対し、再度協議をするよう通知した。 財政が厳しい中、地方自治体は過疎化など対応すべき社会課題を多く抱える。だが、負担が増える課税にあたっては丁寧な合意形成も求められている。提供元:エヌピー通信社
2022.06.16 16:20:31