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国際課税の新ルール 24年以降に持ち越し

 経済協力開発機構(OECD)のコーマン事務総長は5月24日、スイスのダボスで開かれた世界経済フォーラムの年次総会で、2023年の実施を目指していた国際課税の新ルール導入が24年以降にずれ込む可能性があると明らかにした。
 国際課税の新ルール導入は、21年10月のOECD会合で合意された。このルールでは、第1の柱として、国境を越えて活動する巨大IT企業などの多国籍企業の課税逃れを防ぐため、全世界の売り上げが200億ユーロ以上で、利益率が10%を超える企業に、10%を上回る利益のうち25%を各国別の売上高などに応じて分配する「デジタル課税」を盛り込んだ。第2の柱で、法人税の引き下げ競争に歯止めをかけるために各国の最低法人税率を15%とし、15%未満の国があれば、残りの課税分は別の国が15%まで課税できるとした。
 国際課税はG7やG20の財務相・中央銀行総裁会議でも繰り返し重要課題として議論されてきた。従来のルールでは、自国内で生じた外国企業の利益への課税は、国内に支店などの恒久的施設がある場合のみ可能とされていた。しかし、デジタル化が進んだ時代では、通販大手アマゾンやグーグル、アップルなどの「GAFA」と呼ばれる米IT企業をはじめとし、国境をまたいで世界で大きな利益を上げる企業が増えた。自国内に拠点がない場合、その利益に課税できないといった不満が各国で高まっている。新ルールでは旧来の原則を見直し、課税できる仕組みとなった。
 だが、依然として米国内では反対意見も根強い。欧州連合(EU)でも慎重姿勢を崩さない国があり、実施まで議論は難航しそうだ。

提供元:エヌピー通信社

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 経済協力開発機構(OECD)のコーマン事務総長は5月24日、スイスのダボスで開かれた世界経済フォーラムの年次総会で、2023年の実施を目指していた国際課税の新ルール導入が24年以降にずれ込む可能性があると明らかにした。 国際課税の新ルール導入は、21年10月のOECD会合で合意された。このルールでは、第1の柱として、国境を越えて活動する巨大IT企業などの多国籍企業の課税逃れを防ぐため、全世界の売り上げが200億ユーロ以上で、利益率が10%を超える企業に、10%を上回る利益のうち25%を各国別の売上高などに応じて分配する「デジタル課税」を盛り込んだ。第2の柱で、法人税の引き下げ競争に歯止めをかけるために各国の最低法人税率を15%とし、15%未満の国があれば、残りの課税分は別の国が15%まで課税できるとした。 国際課税はG7やG20の財務相・中央銀行総裁会議でも繰り返し重要課題として議論されてきた。従来のルールでは、自国内で生じた外国企業の利益への課税は、国内に支店などの恒久的施設がある場合のみ可能とされていた。しかし、デジタル化が進んだ時代では、通販大手アマゾンやグーグル、アップルなどの「GAFA」と呼ばれる米IT企業をはじめとし、国境をまたいで世界で大きな利益を上げる企業が増えた。自国内に拠点がない場合、その利益に課税できないといった不満が各国で高まっている。新ルールでは旧来の原則を見直し、課税できる仕組みとなった。 だが、依然として米国内では反対意見も根強い。欧州連合(EU)でも慎重姿勢を崩さない国があり、実施まで議論は難航しそうだ。提供元:エヌピー通信社
2022.05.26 15:22:39