HOME ニュース一覧 相続税の課税割合は平成27年以降最高の8.8%

税ニュース

相続税の課税割合は平成27年以降最高の8.8%

 国税庁が公表した令和2年分相続税の申告状況によると、令和2年中に亡くなった人(被相続人)は、過去最高だった令和元年(138万1093人)を▲0.6%とやや下回る137万2755人だった。このうち相続税の課税対象被相続人数は、同4.4%増の12万372人で、課税割合は8.8%(令和元年分8.3%)だった。今回の対象は、令和3年11月1日までに提出された相続税額のある申告書に基づき集計している。

 課税割合8.8%は、前年より0.5ポイント増加し、平成27年の相続税の基礎控除引下げ以降では最も高く、6年連続8%台の割合となり、相続で税金がかかるのは100人に8人という状況が続いている。また、相続財産価額から被相続人の債務や葬儀費用などを差し引き、相続開始前3年以内の生前贈与等を加算した相続税の課税価格は、16兆3937億円で前年比3.9%増加し、税額は2兆915億円で同5.9%増加した。
 
 被相続人1人当たりでみると、課税価格が前年比▲0.5%の1億3619万円(相続税額のない申告書に係る価格は5102万円)と微減となったが、税額は1737万円で同1.4%増加した。また、相続財産額の構成比は、「土地」が34.7%と3割強を占め、「現金・預貯金等」が33.9%、「有価証券」が14.8%、退職金や生命保険などが含まれている「その他」が11.3%、「家屋」が5.3%の順となっている。
 
 前年と比べ「土地」は0.3ポイント増と横ばいで、「現金・預貯金等」も0.2ポイント増ほぼ横ばいだが、過去10年では最高の構成比となった。「現金・預貯金等」の構成比は、9年前の平成23年分の24.4%(2兆8531億円)から令和2年分は33.9%(5兆8989億円)と、9.5ポイント上昇。また、「有価証券」も同13.0%(1兆5209億円)から同14.8%(2兆5811億円)と1.8ポイント上昇している。

 一方で「土地」は、平成23年分の45.9%(5兆3781億円)から令和2年分は34.7%(6兆389億円)と▲11.2ポイントも下落している。令和2年分の路線価は5年連続で上昇していたが、「土地」の構成比は下落を続けている。つまり、相続財産に占める割合が高い土地の評価は、相続財産の課税価格が基礎控除額(「3000万円+600万円×法定相続人の数」)内でおさまるケースが多いことになる。

令和2年分相続税の申告事績の概要について

提供元:21C・TFフォーラム(株式会社タックス・コム)

この記事のカテゴリ

関連リンク

令和6年4月1日から相続登記が義務化!

税務・会計に関する情報を毎週無料でお届けしています!

メルマガ登録はこちら


税ニュース
/news/tax/2021/img/img_sozoku_02_s.jpg
 国税庁が公表した令和2年分相続税の申告状況によると、令和2年中に亡くなった人(被相続人)は、過去最高だった令和元年(138万1093人)を▲0.6%とやや下回る137万2755人だった。このうち相続税の課税対象被相続人数は、同4.4%増の12万372人で、課税割合は8.8%(令和元年分8.3%)だった。今回の対象は、令和3年11月1日までに提出された相続税額のある申告書に基づき集計している。 課税割合8.8%は、前年より0.5ポイント増加し、平成27年の相続税の基礎控除引下げ以降では最も高く、6年連続8%台の割合となり、相続で税金がかかるのは100人に8人という状況が続いている。また、相続財産価額から被相続人の債務や葬儀費用などを差し引き、相続開始前3年以内の生前贈与等を加算した相続税の課税価格は、16兆3937億円で前年比3.9%増加し、税額は2兆915億円で同5.9%増加した。  被相続人1人当たりでみると、課税価格が前年比▲0.5%の1億3619万円(相続税額のない申告書に係る価格は5102万円)と微減となったが、税額は1737万円で同1.4%増加した。また、相続財産額の構成比は、「土地」が34.7%と3割強を占め、「現金・預貯金等」が33.9%、「有価証券」が14.8%、退職金や生命保険などが含まれている「その他」が11.3%、「家屋」が5.3%の順となっている。  前年と比べ「土地」は0.3ポイント増と横ばいで、「現金・預貯金等」も0.2ポイント増ほぼ横ばいだが、過去10年では最高の構成比となった。「現金・預貯金等」の構成比は、9年前の平成23年分の24.4%(2兆8531億円)から令和2年分は33.9%(5兆8989億円)と、9.5ポイント上昇。また、「有価証券」も同13.0%(1兆5209億円)から同14.8%(2兆5811億円)と1.8ポイント上昇している。 一方で「土地」は、平成23年分の45.9%(5兆3781億円)から令和2年分は34.7%(6兆389億円)と▲11.2ポイントも下落している。令和2年分の路線価は5年連続で上昇していたが、「土地」の構成比は下落を続けている。つまり、相続財産に占める割合が高い土地の評価は、相続財産の課税価格が基礎控除額(「3000万円+600万円×法定相続人の数」)内でおさまるケースが多いことになる。
2021.12.24 16:51:04