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上場株式等に係る配当所得等の課税の特例の見直し

 令和4年度税制改正において、上場株式等に係る配当所得等の課税の特例が見直される。内国法人から支払を受ける上場株式等の配当等で、その支払を受ける居住者等及びその対象者を判定の基礎となる株主として選定した場合に同族会社に該当する法人が保有する株式等の発行済株式等の総数等に占める割合(「株式等保有割合」)が100分の3以上となるときにおけるその対象者が支払を受けるものは、総合課税の対象とされる。

 上場株式等に係る配当所得等は申告分離課税の特例がある。この特例の適用を受けようとする旨の記載のある確定申告書を提出したときは、その上場株式等の配当等に係る利子所得及び配当所得については、他の所得と区分して、その年中のその上場株式等の配当等に係る利子所得の金額及び配当所得の金額に対し、上場株式等に係る課税配当所得等の金額の15%(他に地方税5%)の税率により軽減して分離課税される。

 具体的には、上場株式等の配当等の場合は、15.315%(他に地方税5%)の税率により所得税及び復興特別所得税が源泉徴収される。しかし、発行済株式の総数等の3%以上に相当する数又は金額の株式等を有する「大口株主等」が支払を受ける上場株式等の配当等については、この軽減税率適用の対象とはならず、20.42%(地方税なし)の税率により所得税及び復興特別所得税が源泉徴収される。

 つまり、現行制度では、上場株式等の配当所得については、総合課税によらず、申告分離課税を選択することができるが、令和4年度改正では、同族会社に該当する法人が保有する株式等の保有割合が100分の3以上となる「大口株主等」が支払を受ける上場株式等の配当等は、全て総合課税の対象とされるのだ。この改正は、令和5年10月1日以後に支払を受けるべき上場株式等の配当等について適用される。

 また、上場株式等の配当等の支払をする内国法人は、その配当等の支払に係る基準日においてその株式等保有割合が100分の1以上となる対象者の氏名、個人番号及び株式等保有割合その他の事項を記載した報告書を、その支払の確定した日から1月以内に、その内国法人の本店又は主たる事務所の所在地の所轄税務署長に提出しなければならないこととされる。この改正は、令和5年10月1日以後に支払うべき上場株式等の配当等に適用される。

提供元:21C・TFフォーラム(株式会社タックス・コム)

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 令和4年度税制改正において、上場株式等に係る配当所得等の課税の特例が見直される。内国法人から支払を受ける上場株式等の配当等で、その支払を受ける居住者等及びその対象者を判定の基礎となる株主として選定した場合に同族会社に該当する法人が保有する株式等の発行済株式等の総数等に占める割合(「株式等保有割合」)が100分の3以上となるときにおけるその対象者が支払を受けるものは、総合課税の対象とされる。 上場株式等に係る配当所得等は申告分離課税の特例がある。この特例の適用を受けようとする旨の記載のある確定申告書を提出したときは、その上場株式等の配当等に係る利子所得及び配当所得については、他の所得と区分して、その年中のその上場株式等の配当等に係る利子所得の金額及び配当所得の金額に対し、上場株式等に係る課税配当所得等の金額の15%(他に地方税5%)の税率により軽減して分離課税される。 具体的には、上場株式等の配当等の場合は、15.315%(他に地方税5%)の税率により所得税及び復興特別所得税が源泉徴収される。しかし、発行済株式の総数等の3%以上に相当する数又は金額の株式等を有する「大口株主等」が支払を受ける上場株式等の配当等については、この軽減税率適用の対象とはならず、20.42%(地方税なし)の税率により所得税及び復興特別所得税が源泉徴収される。 つまり、現行制度では、上場株式等の配当所得については、総合課税によらず、申告分離課税を選択することができるが、令和4年度改正では、同族会社に該当する法人が保有する株式等の保有割合が100分の3以上となる「大口株主等」が支払を受ける上場株式等の配当等は、全て総合課税の対象とされるのだ。この改正は、令和5年10月1日以後に支払を受けるべき上場株式等の配当等について適用される。 また、上場株式等の配当等の支払をする内国法人は、その配当等の支払に係る基準日においてその株式等保有割合が100分の1以上となる対象者の氏名、個人番号及び株式等保有割合その他の事項を記載した報告書を、その支払の確定した日から1月以内に、その内国法人の本店又は主たる事務所の所在地の所轄税務署長に提出しなければならないこととされる。この改正は、令和5年10月1日以後に支払うべき上場株式等の配当等に適用される。提供元:21C・TFフォーラム(株式会社タックス・コム)
2021.12.17 16:16:32