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固定資産税の特例措置 22年度改正で調整難航

 2022年度税制改正の議論が行われている中、土地にかかる固定資産税の負担軽減策について自民と公明の主張が異なっている。新型コロナウイルスの新たな変異株の出現もあり経済情勢が依然として不透明な中で、調整は難航しそうだ。
 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い経済情勢悪化を受け、21年度は税額が上昇する商業地や住宅地などすべての土地の税額を前年度と同額に据え置く特例措置を実施した。自民党の宮沢洋一税調会長は「一律に減免すれば一等地に土地を持つ大手企業でも租税負担が下がる」として、コロナ禍でも収益が好調な企業があることなどを鑑み、この特例措置の延長や税制での負担軽減措置を行わない意向を示している。固定資産税は市町村の税収の約4割を占める基幹税であることから、地方税を所管する総務省も同様の立場だ。
 一方で公明党は、商業地を中心に引き続き何らかの負担軽減策を導入したい考え。西田実仁税調会長は「コロナがまだ落ち着いていない中で、まだ業績が悪い企業への負担を減らすことも考えなくてはいけない」と話す。税調の議論の場では幹部から「新型コロナウイルスの新たな変異株が今後の経済に及ぼす影響も考慮する必要がある」といった意見が出された。
 地価が上昇した場合の課税標準額は、前年度の課税標準額に土地の評価額の5%分を加えた額とするのが本来の仕組み。国土交通省は加算分を5%から2.5%に引き下げることで税額上昇分を半分に減らす措置を導入することを要望しており、こうした案も踏まえた上で議論が続くことになる。
 21年度の税制改正では、特例措置の対象となる土地について自民は当初、商業地に絞る方向だったが、最終的には公明党側に配慮して対象を住宅地を含む全ての土地に広げたという経緯がある。自民党税調が行った要望ヒアリングでは出席議員から来年夏の参院選挙への影響を懸念する声が上がるなど、政治的駆け引きが行われる可能性もある。

提供元:エヌピー通信社

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 2022年度税制改正の議論が行われている中、土地にかかる固定資産税の負担軽減策について自民と公明の主張が異なっている。新型コロナウイルスの新たな変異株の出現もあり経済情勢が依然として不透明な中で、調整は難航しそうだ。 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い経済情勢悪化を受け、21年度は税額が上昇する商業地や住宅地などすべての土地の税額を前年度と同額に据え置く特例措置を実施した。自民党の宮沢洋一税調会長は「一律に減免すれば一等地に土地を持つ大手企業でも租税負担が下がる」として、コロナ禍でも収益が好調な企業があることなどを鑑み、この特例措置の延長や税制での負担軽減措置を行わない意向を示している。固定資産税は市町村の税収の約4割を占める基幹税であることから、地方税を所管する総務省も同様の立場だ。 一方で公明党は、商業地を中心に引き続き何らかの負担軽減策を導入したい考え。西田実仁税調会長は「コロナがまだ落ち着いていない中で、まだ業績が悪い企業への負担を減らすことも考えなくてはいけない」と話す。税調の議論の場では幹部から「新型コロナウイルスの新たな変異株が今後の経済に及ぼす影響も考慮する必要がある」といった意見が出された。 地価が上昇した場合の課税標準額は、前年度の課税標準額に土地の評価額の5%分を加えた額とするのが本来の仕組み。国土交通省は加算分を5%から2.5%に引き下げることで税額上昇分を半分に減らす措置を導入することを要望しており、こうした案も踏まえた上で議論が続くことになる。 21年度の税制改正では、特例措置の対象となる土地について自民は当初、商業地に絞る方向だったが、最終的には公明党側に配慮して対象を住宅地を含む全ての土地に広げたという経緯がある。自民党税調が行った要望ヒアリングでは出席議員から来年夏の参院選挙への影響を懸念する声が上がるなど、政治的駆け引きが行われる可能性もある。提供元:エヌピー通信社
2021.12.02 16:32:01