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源泉税の期限後納付は告知を予知したものではないと認定

 土地等を非居住者に譲渡したことに伴う源泉所得税が法定納期限後に納付されたことを巡って、その納付が、いわゆる税務調査によって告知があるべきことを予知してされたものであるか否かの判断が争われた事件で国税不服審判所は、法人側がその納付を自主的に行ったと認められることから、その納付と署内調査との関連性も乏しいと言わざるを得ないと指摘。その結果、源泉所得税の納付は、国税通則法67条2項が規定する「国税についての調査があったことにより当該告知があるべきことを予知してされたものでないとき」に該当すると判断、原処分の一部を取り消した。

 この事件は、総合建設業等を目的として設立された法人(審査請求人)が非居住者に支払った土地の購入代金に係る源泉所得税等を法定納期限後に納付したことを受けて、原処分庁が不納付加算税の賦課決定処分を行ってきたのが発端。そこで請求人側が、法定納期限後の納付については正当な理由がある上、仮にこれが認められないとしても、その納付は調査があったことにより告知があるべきことを予知してされたものではないと主張して、原処分の全部又は一部の取消しを求めて審査請求したという事案である。

 原処分庁側は、法定納期限を徒過した源泉所得税等の納付は、調査担当職員が実地調査の日程調整を依頼した際に行った源泉徴収義務の存否に関する発言を起因としたものであり、その後の調査が進行すれば告知に至るであろうことを予知して行ったものであるから、国税通則法67条2項が定める「調査があったことにより告知があるべきことを予知してされたものでないとき」に該当しない旨主張して、審査請求の棄却を求めた。つまり、法定納期限を徒過して源泉所得税等を納付したことに正当な理由があるか否か、また調査によって告知があるべきことを予知してされたものか否かが争点になった事案である。

 これに対して裁決はまず、調査による告知を予知してされたものであるかどうかの判断に当たっては、調査の内容・進捗状況、それに関する納税者の認識、納付に至る経緯、さらに納付と調査の内容との関連性等の事情を総合考慮して判断するのが相当と指摘。

 その上で、実地調査の日程調整を依頼した時点では、その後の調査の進行により、やがて納税の告知に至る可能性が高い状況にあったといえるものの、その発言からは、具体的な取引内容や調査対象期間も示されず、請求人は署内調査の内容・進捗状況を具体的に認識していないと認定するとともに、法人が納付を自主的に行ったと認められるから、納付と署内調査との関連性も乏しいと言わざるを得ないとも指摘。結局、調査があったことにより告知があるべきことを予知してされたものでないとき」に該当すると判断して、原処分の一部を取り消した。しかし、法定納期限に納付が行われたことについて正当な理由があるとした法人側の主張は斥けられている。

(2021.01.20国税不服審判所裁決)

提供元:21C・TFフォーラム(株式会社タックス・コム)

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 土地等を非居住者に譲渡したことに伴う源泉所得税が法定納期限後に納付されたことを巡って、その納付が、いわゆる税務調査によって告知があるべきことを予知してされたものであるか否かの判断が争われた事件で国税不服審判所は、法人側がその納付を自主的に行ったと認められることから、その納付と署内調査との関連性も乏しいと言わざるを得ないと指摘。その結果、源泉所得税の納付は、国税通則法67条2項が規定する「国税についての調査があったことにより当該告知があるべきことを予知してされたものでないとき」に該当すると判断、原処分の一部を取り消した。 この事件は、総合建設業等を目的として設立された法人(審査請求人)が非居住者に支払った土地の購入代金に係る源泉所得税等を法定納期限後に納付したことを受けて、原処分庁が不納付加算税の賦課決定処分を行ってきたのが発端。そこで請求人側が、法定納期限後の納付については正当な理由がある上、仮にこれが認められないとしても、その納付は調査があったことにより告知があるべきことを予知してされたものではないと主張して、原処分の全部又は一部の取消しを求めて審査請求したという事案である。 原処分庁側は、法定納期限を徒過した源泉所得税等の納付は、調査担当職員が実地調査の日程調整を依頼した際に行った源泉徴収義務の存否に関する発言を起因としたものであり、その後の調査が進行すれば告知に至るであろうことを予知して行ったものであるから、国税通則法67条2項が定める「調査があったことにより告知があるべきことを予知してされたものでないとき」に該当しない旨主張して、審査請求の棄却を求めた。つまり、法定納期限を徒過して源泉所得税等を納付したことに正当な理由があるか否か、また調査によって告知があるべきことを予知してされたものか否かが争点になった事案である。 これに対して裁決はまず、調査による告知を予知してされたものであるかどうかの判断に当たっては、調査の内容・進捗状況、それに関する納税者の認識、納付に至る経緯、さらに納付と調査の内容との関連性等の事情を総合考慮して判断するのが相当と指摘。 その上で、実地調査の日程調整を依頼した時点では、その後の調査の進行により、やがて納税の告知に至る可能性が高い状況にあったといえるものの、その発言からは、具体的な取引内容や調査対象期間も示されず、請求人は署内調査の内容・進捗状況を具体的に認識していないと認定するとともに、法人が納付を自主的に行ったと認められるから、納付と署内調査との関連性も乏しいと言わざるを得ないとも指摘。結局、調査があったことにより告知があるべきことを予知してされたものでないとき」に該当すると判断して、原処分の一部を取り消した。しかし、法定納期限に納付が行われたことについて正当な理由があるとした法人側の主張は斥けられている。(2021.01.20国税不服審判所裁決)提供元:21C・TFフォーラム(株式会社タックス・コム)
2021.10.11 17:33:04