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国外財産調書の未提出に対する加重措置は適法と判断、棄却

 外国子会社合算税制に係る所得が無申告であった者に対する無申告加算税の賦課決定処分を巡って、内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律6条が定める国外財産に係る過少申告加算税又は無申告加算税の特例の適用が適法か否かの判断が争われた事件で国税不服審判所は、納税者側に国外財産調書の提出義務があったにもかかわらず、これらをいずれも法定提出期限内に提出しなかったと認定した上で、無申告加算税の賦課決定処分はいずれも適法と判断、審査請求を棄却した。

 この事件は、内国法人4社のほか香港等に設立された法人の代表取締役等を務めていた納税者(審査請求人)の所得税等に関して、納税者自身が非居住者に該当すると判断、所得税等に関する確定申告書を法定申告期限内に提出しなかったところ、原処分庁が税務調査の結果、納税者が所得税法上の居住者に該当し、外国子会社合算税制が適用される等々の事実認定の下、所得税等の決定処分及び再更正処分並びに無申告加算税の賦課決定処分をしてきたことが発端。そこで納税者側が非居住者であること等を理由に、原処分の全部取消しを求めて審査請求したという事案である。

 つまり、1)税務調査手続きにおける違法性の有無、2)納税者が居住者に該当するか否か、さらに3)所得税等の額の計算上、外国子会社合算税制の適用除外規定が適用されるか否かが争点になったケースであるが、いわゆる国外財産調書の適用義務があるにもかかわらず、法定提出期限内に提出しなかった者に対する加重措置の適用が適法か否かの判断がポイントになった事案でもある。

 裁決はまず、請求人側が平成27年12月末日から3年分の間、国外に保有する財産の価額の合計額が5000万円を超えていたと認められるから、3年分について、内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律(いわゆる国送法)5条が規定する国外財産調書の提出義務があったにもかかわらず、これらをいずれも法定提出期限内に提出しなかったと認定。

 その結果、各年分の無申告加算税の金額については、国税通則法66条(無申告加算税)並びに国送法6条(国外財産に係る過少申告加算税又は無申告加算税の特例)2項の規定に基づいてその額を計算すると、いずれも原処分が算定した各金額と同額となることから、無申告加算税の各賦課決定処分はいずれも適法であると判断して、審査請求を棄却した。

(2021.03.26国税不服審判所裁決)

提供元:21C・TFフォーラム(株式会社タックス・コム)

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2021.10.04 16:08:11