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金融庁、デリバティブ取引にまで損益通算範囲拡大を要望

 金融庁では、金融所得課税の一体化に向けて、デリバティブ取引・預貯金等も金融商品間の損益通算の対象とするよう令和4年度税制改正要望に盛り込んでいる。同庁の「金融所得課税の一体化に関する研究会」が7月7日に公表した論点整理で、損益通算の対象とするよう求めていた。現在、金融商品間の損益通算範囲は、上場株式等に加え特定公社債等にまで拡大されているが、デリバティブ取引・預貯金等については損益通算が認められていない。

 デリバティブ取引は、株式や債券、通貨、外国為替などの金融商品から派生した商品の取引の総称で、代表的なものとして先物取引、オプション取引、スワップ取引がある。FX(外国為替証拠金取引)も先物取引の一つ。たとえば、FXの課税の取扱いについては、「先物取引に係る雑所得等」として他の所得と区分され、申告分離課税される。他の先物取引に係る雑所得等との損益通算はできるが、それ以外の所得との損益通算はできない。

 令和3年度与党税制改正大綱の検討事項では、「デリバティブを含む金融所得課税の更なる一体化については、……時価評価課税の有効性や課題を始めとして多様なスキームによる意図的な租税回避行為を防止するための具体的な方策を含め、関係者の理解を得つつ、早期に検討する」と記載されていた。

 これを踏まえ、要望では、早期に実現することとして、1)まずは有価証券市場デリバティブ取引を損益通算の対象とする、2)租税回避行為防止のため、有価証券市場デリバティブ取引については時価評価課税を一律に適用する、3)個人投資家の利便性向上のため特定口座での損益通算を可能とする、ことを取り上げ、この場合の減収見込額を6億円と試算。

 デリバティブ取引を損益通算の対象にした場合の租税回避行為として、デリバティブ取引の「売り」と「買い」を両建てし、利益のあるほうは売却せずに(含み益)、損失があるほうのみ実現損として損益通算することで課税の繰延べを可能とする方法が想定される。これを防ぐのが、実現損だけでなく含み益に対しても課税する時価評価課税の導入だ。米国では一定のデリバティブ取引への時価評価課税を1981年に導入している。

令和4年度税制改正要望「金融所得課税の一体化」について

提供元:21C・TFフォーラム(株式会社タックス・コム)

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 金融庁では、金融所得課税の一体化に向けて、デリバティブ取引・預貯金等も金融商品間の損益通算の対象とするよう令和4年度税制改正要望に盛り込んでいる。同庁の「金融所得課税の一体化に関する研究会」が7月7日に公表した論点整理で、損益通算の対象とするよう求めていた。現在、金融商品間の損益通算範囲は、上場株式等に加え特定公社債等にまで拡大されているが、デリバティブ取引・預貯金等については損益通算が認められていない。 デリバティブ取引は、株式や債券、通貨、外国為替などの金融商品から派生した商品の取引の総称で、代表的なものとして先物取引、オプション取引、スワップ取引がある。FX(外国為替証拠金取引)も先物取引の一つ。たとえば、FXの課税の取扱いについては、「先物取引に係る雑所得等」として他の所得と区分され、申告分離課税される。他の先物取引に係る雑所得等との損益通算はできるが、それ以外の所得との損益通算はできない。 令和3年度与党税制改正大綱の検討事項では、「デリバティブを含む金融所得課税の更なる一体化については、……時価評価課税の有効性や課題を始めとして多様なスキームによる意図的な租税回避行為を防止するための具体的な方策を含め、関係者の理解を得つつ、早期に検討する」と記載されていた。 これを踏まえ、要望では、早期に実現することとして、1)まずは有価証券市場デリバティブ取引を損益通算の対象とする、2)租税回避行為防止のため、有価証券市場デリバティブ取引については時価評価課税を一律に適用する、3)個人投資家の利便性向上のため特定口座での損益通算を可能とする、ことを取り上げ、この場合の減収見込額を6億円と試算。 デリバティブ取引を損益通算の対象にした場合の租税回避行為として、デリバティブ取引の「売り」と「買い」を両建てし、利益のあるほうは売却せずに(含み益)、損失があるほうのみ実現損として損益通算することで課税の繰延べを可能とする方法が想定される。これを防ぐのが、実現損だけでなく含み益に対しても課税する時価評価課税の導入だ。米国では一定のデリバティブ取引への時価評価課税を1981年に導入している。
2021.09.22 15:26:33