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事業承継税制 コロナ禍で報告基準日にズレ 延長後の申告期限でカウント

 自社株引き継ぎにかかる贈与税や相続税を実質免除できる事業承継税制について、引き継ぎ後の状況を報告する手続きのタイミングについて、国税庁が注意を呼び掛けている。コロナ禍を受けての特例措置などによって申告期限が延長されている場合、報告基準日の起算日が変わる可能性があるからだ。誤った起算日を基に年次報告書を提出していると再提出が必要となる。
 事業承継税制は、中小企業経営者が後継者に自社株を引き継ぐ際に、贈与税や相続税の負担を軽減するもの。自社株の一部について納税猶予する一般措置に加えて、2018年度税制改正では、自社株のすべてについて猶予を認める特例も創設されている。
 一般・特例のどちらでも企業の事業継続を前提とした税優遇のため、自社株を無税で引き継ぎながら計画的に会社を畳むなどの税逃れが起きないよう、承継後は定期的な状況報告を行うことが制度の利用要件となっている。「年次報告書」と呼ばれるもので、引き継ぎ後5年間は毎年、それ以降も後継者が死亡するなど猶予が終了するタイミングまでは3年ごとの提出が必要だ。
 この報告書は、自社株を引き継いだ際の贈与税・相続税の申告期限から1年を経過するごとの日における経営状況等を報告しなければならないが、その申告期限が何らかの理由によって延長されているときには、報告書の基準となる日も延長されることに留意しなければならない。
 例えば19年に自社株の贈与を行っていた場合、本来であれば20年3月中旬が申告期限だったが、コロナ禍による一律の確定申告期限の延長により、贈与税の申告期限も4月16日となっている。よって年次報告書の報告基準日も、4月16日を基準に1年を経過した日となっているわけだ。同じく翌20年に贈与を行っていた場合でも、報告基準日の起算は今年4月15日となる。
 また新型コロナ以外でも、自然災害などによる被災地で、被災者生活再建支援法に基づき地域一括で申告期限が延長されている場合も同様だ。それぞれ個別に指定された延長後の申告期限を基に、報告基準日をカウントする必要がある。

提供元:エヌピー通信社

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 自社株引き継ぎにかかる贈与税や相続税を実質免除できる事業承継税制について、引き継ぎ後の状況を報告する手続きのタイミングについて、国税庁が注意を呼び掛けている。コロナ禍を受けての特例措置などによって申告期限が延長されている場合、報告基準日の起算日が変わる可能性があるからだ。誤った起算日を基に年次報告書を提出していると再提出が必要となる。 事業承継税制は、中小企業経営者が後継者に自社株を引き継ぐ際に、贈与税や相続税の負担を軽減するもの。自社株の一部について納税猶予する一般措置に加えて、2018年度税制改正では、自社株のすべてについて猶予を認める特例も創設されている。 一般・特例のどちらでも企業の事業継続を前提とした税優遇のため、自社株を無税で引き継ぎながら計画的に会社を畳むなどの税逃れが起きないよう、承継後は定期的な状況報告を行うことが制度の利用要件となっている。「年次報告書」と呼ばれるもので、引き継ぎ後5年間は毎年、それ以降も後継者が死亡するなど猶予が終了するタイミングまでは3年ごとの提出が必要だ。 この報告書は、自社株を引き継いだ際の贈与税・相続税の申告期限から1年を経過するごとの日における経営状況等を報告しなければならないが、その申告期限が何らかの理由によって延長されているときには、報告書の基準となる日も延長されることに留意しなければならない。 例えば19年に自社株の贈与を行っていた場合、本来であれば20年3月中旬が申告期限だったが、コロナ禍による一律の確定申告期限の延長により、贈与税の申告期限も4月16日となっている。よって年次報告書の報告基準日も、4月16日を基準に1年を経過した日となっているわけだ。同じく翌20年に贈与を行っていた場合でも、報告基準日の起算は今年4月15日となる。 また新型コロナ以外でも、自然災害などによる被災地で、被災者生活再建支援法に基づき地域一括で申告期限が延長されている場合も同様だ。それぞれ個別に指定された延長後の申告期限を基に、報告基準日をカウントする必要がある。提供元:エヌピー通信社
2021.08.26 16:46:21