令和2年度末の租税滞納残高22年ぶりに増加
国税庁はこのほど令和2年度租税滞納状況を公表したが、新型コロナウイルス感染症に伴う納税者への支援策である「特例猶予制度」の適用(令和2年4月~3年2月で猶予件数約32万件、猶予額1兆5176億円)により、元年度分の滞納の新規発生が2年度にずれ込んだことなどが影響して同年度の新規滞納発生額は5916億円と前年度に比べ7%(388億円)増加したことがわかった。
新規発生滞納額を税目別にみると、消費税(地方消費税除く)が3456億円で最も多く全体の半分以上を占め、以下、所得税1366億円(源泉所得税含む)、法人税805 億円、相続税236億円、その他53億円となっている。新規発生滞納額を申告等により課税された徴収決定済額で除した「滞納発生割合」は、特例猶予分が徴収決定済額から除かれているため0.9%となり、2年連続で国税庁発足以来、過去最低だった。
一方、整理済額は、新型コロナウイルス感染症の影響による納税困難者への猶予制度の適用を最優先に取り組んだことから5184億円にとどまり、前年度に比べて14.9%にあたる907億円少ない。
滞納処理(整理済)額が新規発生滞納額を下回ったため、今年3月末の滞納残高は8286億円で前年度に比べ732億円増え、22年ぶりに増加に転じた。税目別にみると、最も多いのが所得税の3342億円で、以下、消費税3245億円、法人税1081億円、相続税561億円となっているが、前年度と比べると消費税が21.6%も増加した。
提供元:21C・TFフォーラム(株式会社タックス・コム)