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土地の譲渡に係る収益は請求人に帰属していないと判断、取消し

 不動産売買契約に基づく土地等の譲渡に係る収益の帰属先の判定が争われた事件で国税不服審判所は、土地等の譲渡に係る事業の主体は審査請求人(法人)以外の法人であることから、当然、その収益も請求人以外の法人に帰属すると認定した上で、青色申告の承認の取消処分、法人税・復興特別法人税・地方法人税に係る重加算税の賦課決定処分を全部取り消した。

 この事件は、原処分庁が、1)審査請求人(法人)及び請求人以外の法人の行った土地等の譲渡等に係る収益はその全てが請求人に帰属するため2事業年度の収益に計上する、2)請求人による土地の開発申請に係る業務の役務提供は完了し、収益は確定している、3)請求人が地上権設定契約の締結に伴い収受した金員は、返還されることのない「権利金」であるから収益に当たる――などを理由に、請求人に対して青色申告の承認の取消処分及び重加算税等の更正処分等を行ってきたのが発端となった。

 そこで請求人側が、1)土地等の譲渡等に係る収益は請求人にその全てが帰属するものではなく、また、請求人に帰属する収益もその事業年度に計上するものではない、2)開発申請に係る業務の役務提供は完了しておらず、収益は確定していない、3)地上権設定契約の一部は無効なものであって、収受した金員は将来的に返還される「敷金」であるから、収益には当たらない――などを理由に、原処分の全部取消しを求めて審査請求したという事案である。

 つまり、原処分庁側は、売主を請求人又は請求人以外の法人とする土地及び地上権並びに施設等の不動産等売買契約に係る収益について、1)所得の帰属主体は諸要素を総合的に判断し、実質的に決定すべきであるから、請求人以外の法人が不動産等売買契約に係る経費を支払っていなかったり、代金が請求人名義の預金口座等に入金されていたなどのことから、不動産等売買契約に係る収益全てが請求人に帰属し、また2)不動産等売買契約は土地等及び施設等の譲渡が一体となった一つの契約であるからその収益はその全てが引き渡されたその事業年度に計上すべきである旨主張して、審査請求の棄却を求めたわけだ。

 裁決は、1)請求人及び請求人以外の法人は、不動産等売買契約においてそれぞれの意思に従い、それぞれ別の債務を負う内容の契約を締結し、他にも請求人以外の法人の従業員が土地等の買収に係る業務を行っていたなどの諸事情があることからすれば、不動産等売買契約に係る収益の全てが請求人に帰属するわけではなく、また2)不動産等売買契約がそれぞれ別個の契約であると認められるところ、請求人が譲渡した土地等はその事業年度以前に買主へ移転登記がされ、さらにその事業年度中にその代金の相当部分も支払われていたなどからすると、移転登記の日をもって「引渡しがあった日」であると判断するのが相当であると認定した。

 そうした事実認定の下、不動産等売買契約に係る収益は請求人のその事業年度には計上されないと判断、原処分の全部を取り消した。ただ、2事業年度分の法人税及び地方法人税に係る重加算税の賦課決定処分については一部取消しとなった。

(2020.12.15国税不服審判所裁決)

提供元:21C・TFフォーラム(株式会社タックス・コム)

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 不動産売買契約に基づく土地等の譲渡に係る収益の帰属先の判定が争われた事件で国税不服審判所は、土地等の譲渡に係る事業の主体は審査請求人(法人)以外の法人であることから、当然、その収益も請求人以外の法人に帰属すると認定した上で、青色申告の承認の取消処分、法人税・復興特別法人税・地方法人税に係る重加算税の賦課決定処分を全部取り消した。 この事件は、原処分庁が、1)審査請求人(法人)及び請求人以外の法人の行った土地等の譲渡等に係る収益はその全てが請求人に帰属するため2事業年度の収益に計上する、2)請求人による土地の開発申請に係る業務の役務提供は完了し、収益は確定している、3)請求人が地上権設定契約の締結に伴い収受した金員は、返還されることのない「権利金」であるから収益に当たる――などを理由に、請求人に対して青色申告の承認の取消処分及び重加算税等の更正処分等を行ってきたのが発端となった。 そこで請求人側が、1)土地等の譲渡等に係る収益は請求人にその全てが帰属するものではなく、また、請求人に帰属する収益もその事業年度に計上するものではない、2)開発申請に係る業務の役務提供は完了しておらず、収益は確定していない、3)地上権設定契約の一部は無効なものであって、収受した金員は将来的に返還される「敷金」であるから、収益には当たらない――などを理由に、原処分の全部取消しを求めて審査請求したという事案である。 つまり、原処分庁側は、売主を請求人又は請求人以外の法人とする土地及び地上権並びに施設等の不動産等売買契約に係る収益について、1)所得の帰属主体は諸要素を総合的に判断し、実質的に決定すべきであるから、請求人以外の法人が不動産等売買契約に係る経費を支払っていなかったり、代金が請求人名義の預金口座等に入金されていたなどのことから、不動産等売買契約に係る収益全てが請求人に帰属し、また2)不動産等売買契約は土地等及び施設等の譲渡が一体となった一つの契約であるからその収益はその全てが引き渡されたその事業年度に計上すべきである旨主張して、審査請求の棄却を求めたわけだ。 裁決は、1)請求人及び請求人以外の法人は、不動産等売買契約においてそれぞれの意思に従い、それぞれ別の債務を負う内容の契約を締結し、他にも請求人以外の法人の従業員が土地等の買収に係る業務を行っていたなどの諸事情があることからすれば、不動産等売買契約に係る収益の全てが請求人に帰属するわけではなく、また2)不動産等売買契約がそれぞれ別個の契約であると認められるところ、請求人が譲渡した土地等はその事業年度以前に買主へ移転登記がされ、さらにその事業年度中にその代金の相当部分も支払われていたなどからすると、移転登記の日をもって「引渡しがあった日」であると判断するのが相当であると認定した。 そうした事実認定の下、不動産等売買契約に係る収益は請求人のその事業年度には計上されないと判断、原処分の全部を取り消した。ただ、2事業年度分の法人税及び地方法人税に係る重加算税の賦課決定処分については一部取消しとなった。(2020.12.15国税不服審判所裁決)提供元:21C・TFフォーラム(株式会社タックス・コム)
2021.07.19 16:02:38