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骨太の方針 月内決定へ 首相肝いり「炭素税」導入

 政府は6月9日、経済財政諮問会議を開き、経済財政運営の指針「骨太の方針」の原案を提示した。6月中にも閣議決定する方針だ。今回の骨太で「重点4分野」として打ち出したテーマには、菅政権の肝いりである「脱炭素化」も含まれる。その中では「炭素税」の導入などについて議論を進める方針が改めて強調された。
 原案ではまず、「世界の脱炭素を主導し、経済成長の喚起と温暖化防止・生物多様性保全との両立を図る」と掲げ、洋上風力や水素、蓄電池などの研究開発や設備投資を促進すると記述された。石油や石炭などの化石燃料に二酸化炭素排出量に応じた税を課す「炭素税」や、企業間で排出枠を取引する「排出量取引」などの「カーボンプライシング」(炭素の価格付け)については、企業の負担のあり方に考慮しながら専門的・技術的な議論を進めるとした。
 カーボンプライシングの議論は環境省と経済産業省が2月から別々の有識者会議で本格議論を始めており、両省は22年度の予算要望で具体的な制度の導入を盛り込むことを目指すが、一致した見解が得られるかは不透明だ。炭素税は地球温暖化対策を進める環境省にとっては長年の悲願。一方で、企業の負担増につながり競争力をそぐと懸念する経産省は懸念を示す。骨太では「産業の競争力強化やイノベーション、投資促進につながるよう、成長戦略に資するものについて、躊躇なく取り組む」として、成長戦略の観点からの検討を進めることが明記された。
 産業界には炭素税への慎重論が目立つ。電気やガス事業会社などは、消費者が支払う料金への転嫁の観点からも難色を示す。日本ではすでに排出量に応じて事業者に課税し、事業者は電気代やガソリン代などに上乗せした地球温暖化対策税(温対税)を2012年に導入済み。原油や石炭などには石油石炭税も課税されているため、事実上の「二重課税」との指摘もある。もっとも、脱炭素への取り組みが遅れた企業に負担を求める動きは世界的に加速しており、早期導入を求める声は根強い。消極的な姿勢では日本企業のマイナスイメージにもつながりかねず、政府は体力に乏しい中小企業への配慮や税収の使い道も検討しつつ、議論を進める必要がある。

提供元:エヌピー通信社

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6月2日更新

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 政府は6月9日、経済財政諮問会議を開き、経済財政運営の指針「骨太の方針」の原案を提示した。6月中にも閣議決定する方針だ。今回の骨太で「重点4分野」として打ち出したテーマには、菅政権の肝いりである「脱炭素化」も含まれる。その中では「炭素税」の導入などについて議論を進める方針が改めて強調された。 原案ではまず、「世界の脱炭素を主導し、経済成長の喚起と温暖化防止・生物多様性保全との両立を図る」と掲げ、洋上風力や水素、蓄電池などの研究開発や設備投資を促進すると記述された。石油や石炭などの化石燃料に二酸化炭素排出量に応じた税を課す「炭素税」や、企業間で排出枠を取引する「排出量取引」などの「カーボンプライシング」(炭素の価格付け)については、企業の負担のあり方に考慮しながら専門的・技術的な議論を進めるとした。 カーボンプライシングの議論は環境省と経済産業省が2月から別々の有識者会議で本格議論を始めており、両省は22年度の予算要望で具体的な制度の導入を盛り込むことを目指すが、一致した見解が得られるかは不透明だ。炭素税は地球温暖化対策を進める環境省にとっては長年の悲願。一方で、企業の負担増につながり競争力をそぐと懸念する経産省は懸念を示す。骨太では「産業の競争力強化やイノベーション、投資促進につながるよう、成長戦略に資するものについて、躊躇なく取り組む」として、成長戦略の観点からの検討を進めることが明記された。 産業界には炭素税への慎重論が目立つ。電気やガス事業会社などは、消費者が支払う料金への転嫁の観点からも難色を示す。日本ではすでに排出量に応じて事業者に課税し、事業者は電気代やガソリン代などに上乗せした地球温暖化対策税(温対税)を2012年に導入済み。原油や石炭などには石油石炭税も課税されているため、事実上の「二重課税」との指摘もある。もっとも、脱炭素への取り組みが遅れた企業に負担を求める動きは世界的に加速しており、早期導入を求める声は根強い。消極的な姿勢では日本企業のマイナスイメージにもつながりかねず、政府は体力に乏しい中小企業への配慮や税収の使い道も検討しつつ、議論を進める必要がある。提供元:エヌピー通信社
2021.06.10 16:27:35