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節税保険の規制 会社の譲渡損失計上は不可に

 国税庁は5月28日まで、生命保険の「名義変更プラン」の節税効果を規制する所得税の基本通達の改正案に対するパブコメを募集している。改正案は所得税法上の取り扱いを見直すものだが、個人に名義を譲渡する法人の税務処理も変わることになるので確認しておきたい。
 見直しの対象となるのは「逓増定期保険」の税務処理だ。同保険は契約から一定年数を経過したタイミングで解約時返戻金が急激に増加する。この特徴を生かして、解約返戻金の額が跳ね上がる直前に名義を会社から経営者個人に変更することで、節税が可能となる。税務上は、会社から経営者に保険契約の権利が移転した時点の解約返戻金相当額が経営者の利益となり、低い解約返戻金額を基に納税額を計算できるためだ。その後に解約時返戻金の額が上がれば、少額の納税額で高額な解約返戻金を手にすることが可能となる。
 しかし7月1日以降の名義変更については、譲渡時の解約返戻金の額が支給時の資産計上額の70%未満の保険は支給時の資産計上額で評価することになる。すなわち、譲渡時の解約返戻金等の額ではなく、法人が資産として計上している保険契約の金額を基に個人の納税が決まる仕組みに変更されることとなる。
 この見直しに伴い、法人についても税務処理が変わることになる。これまでは名義変更時の解約返戻金相当額と、保険契約の原価となる資産計上額とで差額がある場合には損失にでき、法人所得を圧縮することが可能だった。しかし今後は、法人が資産として計上している金額での譲渡となるため、差額分の損失を計上することはできなくなる。

提供元:エヌピー通信社

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 国税庁は5月28日まで、生命保険の「名義変更プラン」の節税効果を規制する所得税の基本通達の改正案に対するパブコメを募集している。改正案は所得税法上の取り扱いを見直すものだが、個人に名義を譲渡する法人の税務処理も変わることになるので確認しておきたい。 見直しの対象となるのは「逓増定期保険」の税務処理だ。同保険は契約から一定年数を経過したタイミングで解約時返戻金が急激に増加する。この特徴を生かして、解約返戻金の額が跳ね上がる直前に名義を会社から経営者個人に変更することで、節税が可能となる。税務上は、会社から経営者に保険契約の権利が移転した時点の解約返戻金相当額が経営者の利益となり、低い解約返戻金額を基に納税額を計算できるためだ。その後に解約時返戻金の額が上がれば、少額の納税額で高額な解約返戻金を手にすることが可能となる。 しかし7月1日以降の名義変更については、譲渡時の解約返戻金の額が支給時の資産計上額の70%未満の保険は支給時の資産計上額で評価することになる。すなわち、譲渡時の解約返戻金等の額ではなく、法人が資産として計上している保険契約の金額を基に個人の納税が決まる仕組みに変更されることとなる。 この見直しに伴い、法人についても税務処理が変わることになる。これまでは名義変更時の解約返戻金相当額と、保険契約の原価となる資産計上額とで差額がある場合には損失にでき、法人所得を圧縮することが可能だった。しかし今後は、法人が資産として計上している金額での譲渡となるため、差額分の損失を計上することはできなくなる。提供元:エヌピー通信社
2021.05.20 16:25:14