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相続取得土地の国庫帰属法案、参院で実質審議入り

 相続した土地所有権の放棄を認める「相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律案」は4月1日に衆院を通過し、4月13日から参院法務委員会での実質審議に入った。衆院法務委員会での採決では全会一致で可決しており今国会での成立は確実な見通し。成立すれば、法律の公布の日から2年を超えない範囲内で政令で定める日から施行される。

 この法案は、相続又は遺贈により取得した土地を手放して、国庫に帰属させることを可能とする制度を創設するものだが、対象となる土地が一定の土地に該当しないことが要件で、法務大臣の承認を受けなければ適用されない。

 適用外となるのは、1)建物や通常の管理又は処分を阻害する工作物等がある、2)土壌汚染や埋設物がある、3)崖がある、4)権利関係に争いがある、5)担保権等が設定されている、6)通路など他人によって使用される、土地に該当した場合。

 承認後、10年分の土地管理費相当額の負担金を納付することによって国庫帰属される。法務省の参考資料によると、200平方メートルの国有地(宅地)の管理費用(10年分)は80万円程度(柵・看板設置費用、草刈・巡回費用)としている。相続により、望まない土地を取得した者の負担感が大きく、管理不全化を招いているとの指摘が法案提出の背景にある。土地所有権の放棄の可否について現行民法に規定はない。

 法務省では、所有者不明土地の増加が社会問題化していることから、所有者不明土地の発生の予防と利用の円滑化の両面から、総合的に民事基本法制の見直しを行うため、今国会で新法となる相続取得土地の国庫帰属法案と、民法等の一部改正法案の2つの法案を提出している。

 民法等の一部改正法案は、不動産登記法を改正しこれまで任意とされてきた相続登記や住所変更登記の申請を義務化するとともに、民法を改正し所有者不明土地の管理に特化した所有者不明土地管理制度を創設するもの。

提供元:21C・TFフォーラム(株式会社タックス・コム)

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 相続した土地所有権の放棄を認める「相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律案」は4月1日に衆院を通過し、4月13日から参院法務委員会での実質審議に入った。衆院法務委員会での採決では全会一致で可決しており今国会での成立は確実な見通し。成立すれば、法律の公布の日から2年を超えない範囲内で政令で定める日から施行される。 この法案は、相続又は遺贈により取得した土地を手放して、国庫に帰属させることを可能とする制度を創設するものだが、対象となる土地が一定の土地に該当しないことが要件で、法務大臣の承認を受けなければ適用されない。 適用外となるのは、1)建物や通常の管理又は処分を阻害する工作物等がある、2)土壌汚染や埋設物がある、3)崖がある、4)権利関係に争いがある、5)担保権等が設定されている、6)通路など他人によって使用される、土地に該当した場合。 承認後、10年分の土地管理費相当額の負担金を納付することによって国庫帰属される。法務省の参考資料によると、200平方メートルの国有地(宅地)の管理費用(10年分)は80万円程度(柵・看板設置費用、草刈・巡回費用)としている。相続により、望まない土地を取得した者の負担感が大きく、管理不全化を招いているとの指摘が法案提出の背景にある。土地所有権の放棄の可否について現行民法に規定はない。 法務省では、所有者不明土地の増加が社会問題化していることから、所有者不明土地の発生の予防と利用の円滑化の両面から、総合的に民事基本法制の見直しを行うため、今国会で新法となる相続取得土地の国庫帰属法案と、民法等の一部改正法案の2つの法案を提出している。 民法等の一部改正法案は、不動産登記法を改正しこれまで任意とされてきた相続登記や住所変更登記の申請を義務化するとともに、民法を改正し所有者不明土地の管理に特化した所有者不明土地管理制度を創設するもの。提供元:21C・TFフォーラム(株式会社タックス・コム)
2021.04.15 16:22:01