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消費税の総額表示 ユニクロが9%の値下げ

 4月から始まる消費税の総額表示への対応を巡り、各企業の戦略の違いが明確になっている。最も印象的なのはユニクロが実質9%の値下げに踏み切ったことだ。価格表示が統一されれば、競争上、デフレ圧力が強まるおそれもある。新型コロナウイルスの経済ショックに見舞われたタイミングで果たして適切だったのか疑問視されている。
 ユニクロは3月12日から全商品を対象に、従来の税抜き価格をそのまま税込み価格とし、実質9%値下げした。消費税分を吸収して値下げをアピールした方が収益にプラスと判断したとみられる。
 長崎ちゃんぽんの「リンガーハット」は総額表示への切り替えに合わせ、商品の一部で数円程度を上下させ、切りのいい価格にした。1円単位の支払いをなくすためだ。
 他方、モスフードサービスのように価格改定に合わせてコスト増を反映させ値上げする企業もある。
 財務省は「消費税はコストの一部にすぎず、消費税を含めた対価の設定は企業が自由に行うもの」との認識だ。事業者の総額表示反対論に対しては、「消費税が見えにくくなると、値上げの言い訳がしにくくなるからというだけのこと」と取り合わなかった。
 総額表示が普及している欧州連合(EU)では、税率引き上げに際しても日本のような駆け込み需要や反動減が小さい。増税前から価格を上げたり、増税後の売上げ減をカバーするために価格を下げたりすることが一般的だからだ。財務省もEUと同様の認識が広まることを想定しているとみられる。
 ただ、短期的には総額表示で値上げしたように感じる消費者も多いはずで、経済がいまだ厳しい状況で買い控えにつながるとの懸念がある。値下げが相次げばデフレが加速する恐れもあり、与党内でも不満がくすぶっている。


提供元:エヌピー通信社

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 4月から始まる消費税の総額表示への対応を巡り、各企業の戦略の違いが明確になっている。最も印象的なのはユニクロが実質9%の値下げに踏み切ったことだ。価格表示が統一されれば、競争上、デフレ圧力が強まるおそれもある。新型コロナウイルスの経済ショックに見舞われたタイミングで果たして適切だったのか疑問視されている。 ユニクロは3月12日から全商品を対象に、従来の税抜き価格をそのまま税込み価格とし、実質9%値下げした。消費税分を吸収して値下げをアピールした方が収益にプラスと判断したとみられる。 長崎ちゃんぽんの「リンガーハット」は総額表示への切り替えに合わせ、商品の一部で数円程度を上下させ、切りのいい価格にした。1円単位の支払いをなくすためだ。 他方、モスフードサービスのように価格改定に合わせてコスト増を反映させ値上げする企業もある。 財務省は「消費税はコストの一部にすぎず、消費税を含めた対価の設定は企業が自由に行うもの」との認識だ。事業者の総額表示反対論に対しては、「消費税が見えにくくなると、値上げの言い訳がしにくくなるからというだけのこと」と取り合わなかった。 総額表示が普及している欧州連合(EU)では、税率引き上げに際しても日本のような駆け込み需要や反動減が小さい。増税前から価格を上げたり、増税後の売上げ減をカバーするために価格を下げたりすることが一般的だからだ。財務省もEUと同様の認識が広まることを想定しているとみられる。 ただ、短期的には総額表示で値上げしたように感じる消費者も多いはずで、経済がいまだ厳しい状況で買い控えにつながるとの懸念がある。値下げが相次げばデフレが加速する恐れもあり、与党内でも不満がくすぶっている。提供元:エヌピー通信社
2021.03.25 15:56:26