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金融所得課税の議論再燃 格差拡大で衆院選の争点に

 日経平均株価が一時30年半ぶりに3万円台をつけ、バブル後の最高値に上昇する中、国会では株の譲渡益などにかかる金融所得課税を巡る議論がじわりと盛り上がってきた。新型コロナウイルス感染拡大によって実体経済が依然低迷しており、株高の恩恵が大きい富裕層との格差拡大が浮き彫りとなっているためで、年内の衆院選での争点になりそうだ。
 「持てる人と持てない人の格差が急拡大している」
2月22日の衆院予算委員会で、国民民主党の古川元久氏は金融所得課税の強化を求めた。ただ、菅義偉首相は「経済や国民への生活の影響を考えながら対応したい」と述べ、消極的な姿勢をにじませた。
 累進課税の所得税の最高税率は55%(住民税を含む)なのに対し、分離課税の金融所得は一律20%(同)と規定されている。そのため、所得が1億円を超えると所得税の負担割合が低くなるという「逆転現象」が生じ、かねてから批判されてきた。
 現在の株式市場は、日銀や年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の買い支えによる「官製相場」との見方も野党の批判姿勢を強めている。長期の金融緩和でバブル的様相を見せていることも懸念材料だ。
 一方、首相官邸は株価の下振れリスクには一貫して否定的だ。19年度与党税制改正大綱は「税負担の公平性を確保」と明記したが、官邸は後ろ向きだったという。昨年も「コロナ禍での負担増は避けたい」として議論は封印された。
 コロナ禍の消費減や現金給付で家計貯蓄が増加。投資に回す個人投資家がかつてなく増える中で、課税強化が中間層の支持離れにつながるとの見方もある。今後も国会での論議が続きそうだ。

提供元:エヌピー通信社

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 日経平均株価が一時30年半ぶりに3万円台をつけ、バブル後の最高値に上昇する中、国会では株の譲渡益などにかかる金融所得課税を巡る議論がじわりと盛り上がってきた。新型コロナウイルス感染拡大によって実体経済が依然低迷しており、株高の恩恵が大きい富裕層との格差拡大が浮き彫りとなっているためで、年内の衆院選での争点になりそうだ。 「持てる人と持てない人の格差が急拡大している」2月22日の衆院予算委員会で、国民民主党の古川元久氏は金融所得課税の強化を求めた。ただ、菅義偉首相は「経済や国民への生活の影響を考えながら対応したい」と述べ、消極的な姿勢をにじませた。 累進課税の所得税の最高税率は55%(住民税を含む)なのに対し、分離課税の金融所得は一律20%(同)と規定されている。そのため、所得が1億円を超えると所得税の負担割合が低くなるという「逆転現象」が生じ、かねてから批判されてきた。 現在の株式市場は、日銀や年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の買い支えによる「官製相場」との見方も野党の批判姿勢を強めている。長期の金融緩和でバブル的様相を見せていることも懸念材料だ。 一方、首相官邸は株価の下振れリスクには一貫して否定的だ。19年度与党税制改正大綱は「税負担の公平性を確保」と明記したが、官邸は後ろ向きだったという。昨年も「コロナ禍での負担増は避けたい」として議論は封印された。 コロナ禍の消費減や現金給付で家計貯蓄が増加。投資に回す個人投資家がかつてなく増える中で、課税強化が中間層の支持離れにつながるとの見方もある。今後も国会での論議が続きそうだ。提供元:エヌピー通信社
2021.03.04 16:22:46