HOME ニュース一覧 税務書類の電子保存 要件緩和で届け出不要に 企業のデジタル化推進へ

税ニュース

税務書類の電子保存 要件緩和で届け出不要に 企業のデジタル化推進へ

 領収書などの税務関連書類について、政府は企業が電子スキャンで保存する際に課していた義務を大幅に緩和する。導入する前に税務当局に届け出る制度や、取り込んだデータを紙の原本と照合する定期検査を廃止することが柱になる。2022年以降に保存する書類から適用される見通し。不正防止は企業の責任で担保させ、デジタル化を促進する。
 政府は開会中の通常国会に「電子帳簿保存法」の改正案を提出し、規制緩和に踏み切る。これまでも電子帳簿保存法は繰り返し改正され、領収書や請求書などのスキャン保存や、紙を介さずに書類を直接電子化するための要件が緩和されてきた。しかし国税庁によると、20年3月末現在でスキャン保存を導入したのは4041社にとどまっている。コスト負担の増加を嫌ってデジタル化を避ける傾向がある中小企業だけでなく、大企業にも十分に普及していなかったことになる。
 今回の改正は、企業に対し、スキャン保存の導入前に税務署長へ届け出て承認を得る仕組みを撤廃。税務用の帳簿などを電子データのまま保管できる会計・経理ソフトについても、事前の承認を不要にする。また、スキャンしたデータを紙の原本を年に1回以上突き合わせる検査や、書類の取り扱いに2人以上の担当者をあてる不正防止策も廃止。書類をスキャンで保存するまでの期限も最長で約2カ月に延長する。
 一方、こうした規制緩和の代わりに、データの改ざんなどが判明した際に課される重加算税は10%アップ。多岐にわたる義務を課すのではなく、懲罰で不正を抑止するシステムに切り替える。国税庁幹部は「会計や経理に関する一般的なクラウドサービスの導入を念頭に置いている。ただ不用意なデジタル化は、企業の不正防止を十分にチェックできなくなる恐れもあり、警戒は緩めないようにしたい」と語った。

提供元:エヌピー通信社

この記事のカテゴリ

関連リンク

デジタル課税 増税にアマゾンが”報復”値上げ 国家vsIT企業は新段階へ

税務・会計に関する情報を毎週無料でお届けしています!

メルマガ登録はこちら


税ニュース
/news/tax/2021/img/img_kokuzeitsusoku_01_s.jpg
 領収書などの税務関連書類について、政府は企業が電子スキャンで保存する際に課していた義務を大幅に緩和する。導入する前に税務当局に届け出る制度や、取り込んだデータを紙の原本と照合する定期検査を廃止することが柱になる。2022年以降に保存する書類から適用される見通し。不正防止は企業の責任で担保させ、デジタル化を促進する。 政府は開会中の通常国会に「電子帳簿保存法」の改正案を提出し、規制緩和に踏み切る。これまでも電子帳簿保存法は繰り返し改正され、領収書や請求書などのスキャン保存や、紙を介さずに書類を直接電子化するための要件が緩和されてきた。しかし国税庁によると、20年3月末現在でスキャン保存を導入したのは4041社にとどまっている。コスト負担の増加を嫌ってデジタル化を避ける傾向がある中小企業だけでなく、大企業にも十分に普及していなかったことになる。 今回の改正は、企業に対し、スキャン保存の導入前に税務署長へ届け出て承認を得る仕組みを撤廃。税務用の帳簿などを電子データのまま保管できる会計・経理ソフトについても、事前の承認を不要にする。また、スキャンしたデータを紙の原本を年に1回以上突き合わせる検査や、書類の取り扱いに2人以上の担当者をあてる不正防止策も廃止。書類をスキャンで保存するまでの期限も最長で約2カ月に延長する。 一方、こうした規制緩和の代わりに、データの改ざんなどが判明した際に課される重加算税は10%アップ。多岐にわたる義務を課すのではなく、懲罰で不正を抑止するシステムに切り替える。国税庁幹部は「会計や経理に関する一般的なクラウドサービスの導入を念頭に置いている。ただ不用意なデジタル化は、企業の不正防止を十分にチェックできなくなる恐れもあり、警戒は緩めないようにしたい」と語った。提供元:エヌピー通信社
2021.02.04 16:04:43