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出資者あての領収書は非課税文書と判断、原処分の一部を取消し

 消費生活協同組合が作成した各領収書及び各契約書が課税文書に該当するか否か、具体的には各領収書が非課税規定に規定する「営業に関しない受取書」に該当するか否か、また各契約書が印紙税法施行令26条1号に規定する営業者間で作成された契約書に該当するか否かの判断が争われた事件で国税不服審判所は、領収書の交付を受けた者が領収書の作成日時点では出資者であったと認められ、営業には関係しない受取書に当たたるため課税文書には該当しないと判断、印紙税の過怠税の賦課決定処分の一部を取り消した。

 この事件は、生協法に基づいて設立された消費生活協同組合(審査請求人)が作成した領収書等の文書に対して、原処分庁がいずれも印紙税法に規定する課税文書に該当すると判断して、印紙税の過怠税の賦課決定処分をしてきたため、共同組合側が文書の一部は課税文書に該当しないと主張、原処分の一部取消しを求めて審査請求したという事案である。

 協同組合側は、各施設において事業に係る役務の提供をし、その利用者から施設利用料等の対価を受領した際に、領収書及び利用料領収書を作成して交付していたが、これらの各領収書のいずれについても印紙を貼り付けておらず、また、印紙税法9条等が定める印紙を貼り付ける方法以外の納付方法による印紙税の納付もしていなかった。

 そこで原処分庁側は、消費生活協同組合である審査請求人が作成した領収書は同協同組合が出資者以外の者に交付したものであり、印紙税法別表第一の第17号の非課税物件欄2に規定する「営業に関しない受取書」に該当しない旨主張して、審査請求の棄却を求めたわけだ。

 これに対して裁決は、非課税物件欄2の規定によれば、協同組合側が協同組合の出資者に対して行う事業は、営業には該当しないものの、出資者以外の者に対して行う事業はたとえ営利を目的としないものであったとしても、全て営業に該当すると指摘。その上で、審判所の調査によれば、領収書の交付を受けた者はその作成日の時点では出資者であったと認められることなどからすれば、同欄2に規定する「営業に関しない受取書」に当たるため、課税文書には該当しないと認めるのが相当である判断した。

 結局、領収書のうち非出資者宛の領収書及び契約書はいずれも課税文書であり、領収書のうち出資者宛の各領収書はいずれも非課税文書であると認められるとして、原処分庁がした印紙税に係る過怠税の賦課決定処分の一部を取り消している。

         (国税不服審判所2020.03.02裁決)

提供元:21C・TFフォーラム(株式会社タックス・コム)

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 消費生活協同組合が作成した各領収書及び各契約書が課税文書に該当するか否か、具体的には各領収書が非課税規定に規定する「営業に関しない受取書」に該当するか否か、また各契約書が印紙税法施行令26条1号に規定する営業者間で作成された契約書に該当するか否かの判断が争われた事件で国税不服審判所は、領収書の交付を受けた者が領収書の作成日時点では出資者であったと認められ、営業には関係しない受取書に当たたるため課税文書には該当しないと判断、印紙税の過怠税の賦課決定処分の一部を取り消した。 この事件は、生協法に基づいて設立された消費生活協同組合(審査請求人)が作成した領収書等の文書に対して、原処分庁がいずれも印紙税法に規定する課税文書に該当すると判断して、印紙税の過怠税の賦課決定処分をしてきたため、共同組合側が文書の一部は課税文書に該当しないと主張、原処分の一部取消しを求めて審査請求したという事案である。 協同組合側は、各施設において事業に係る役務の提供をし、その利用者から施設利用料等の対価を受領した際に、領収書及び利用料領収書を作成して交付していたが、これらの各領収書のいずれについても印紙を貼り付けておらず、また、印紙税法9条等が定める印紙を貼り付ける方法以外の納付方法による印紙税の納付もしていなかった。 そこで原処分庁側は、消費生活協同組合である審査請求人が作成した領収書は同協同組合が出資者以外の者に交付したものであり、印紙税法別表第一の第17号の非課税物件欄2に規定する「営業に関しない受取書」に該当しない旨主張して、審査請求の棄却を求めたわけだ。 これに対して裁決は、非課税物件欄2の規定によれば、協同組合側が協同組合の出資者に対して行う事業は、営業には該当しないものの、出資者以外の者に対して行う事業はたとえ営利を目的としないものであったとしても、全て営業に該当すると指摘。その上で、審判所の調査によれば、領収書の交付を受けた者はその作成日の時点では出資者であったと認められることなどからすれば、同欄2に規定する「営業に関しない受取書」に当たるため、課税文書には該当しないと認めるのが相当である判断した。 結局、領収書のうち非出資者宛の領収書及び契約書はいずれも課税文書であり、領収書のうち出資者宛の各領収書はいずれも非課税文書であると認められるとして、原処分庁がした印紙税に係る過怠税の賦課決定処分の一部を取り消している。         (国税不服審判所2020.03.02裁決)提供元:21C・TFフォーラム(株式会社タックス・コム)
2021.01.25 17:42:28