HOME ニュース一覧 消費税還付法人への追徴税額が大幅増加

税ニュース

消費税還付法人への追徴税額が大幅増加

 消費税還付法人に対する税務調査が大きな成果を上げている。これは、国税庁がこのほど公表した令和元事務年度の法人税等の調査事績により明らかとなったもの。法人税調査件数や追徴税額が軒並み減少傾向にある中、消費税還付法人への追徴税額が唯一前年を大きく上回っている。

 国税庁のまとめによると、令和元事務年度に実施した法人消費税の実地調査は7万4千件(対前年比77.4%)。このうち4万4千件(同78.6%)から非違が見つかり、723億円(同90.4%)を追徴している。消費税還付申告法人について見ると、5838件(同89.1%)に実地調査を実施し、このうち707件の不正を含む3334件(同90.4%)から非違が見つかった。これによる追徴税額は前年比21.8%増の213億円(うち不正還付は25億円)。調査1件あたりの追徴税額は同36.7%増の7364万1千円となった。

 今回調査で見つかったのは、国外への販売を装うため他人名義の輸出に関する書類を流用し、架空の輸出売上(免税取引)を計上するとともに架空の国内仕入(課税取引)を計上していたケースや、高額な固定資産の購入を装い架空の課税取引を計上していたケースなど。

 消費税の不正還付は、いわば国庫金の詐取ともいえる悪質性の高い行為であるため、国税庁では今後もとくに厳正な調査を実施していくこととしている。

 なお、法人税調査事績では、大口・悪質な不正計算等が想定される法人など調査必要度の高い法人7万6千件(対前年比77.1%)について実地調査を実施し、その結果、申告漏れ所得金額は7802億円(同56.5%)、追徴税額は2367億円(同86.3%)となっている。

 不正事案を業種別でみると、不正発見割合では「バー・クラブ」が63.5%で18年連続のワースト1。次いで「その他の飲食」42.9%、「外国料理」42.3%と飲食業が占めている。また1件あたりの不正所得金額の大きさでみると、「その他の飲食料品小売」が5811万円でランク外からワースト1に。次いで「電子機器製造」5197万円、「建売、土地売買」4076万円と続く。

令和元事務年度の法人税等の調査事績の概要について

提供元:21C・TFフォーラム(株式会社タックス・コム)

この記事のカテゴリ

関連リンク

海外投資等行う富裕層の申告漏れ所得・追徴税額過去最高に

税務・会計に関する情報を毎週無料でお届けしています!

メルマガ登録はこちら


税ニュース
/news/tax/2020/img/img_hojin_02_s.jpg
 消費税還付法人に対する税務調査が大きな成果を上げている。これは、国税庁がこのほど公表した令和元事務年度の法人税等の調査事績により明らかとなったもの。法人税調査件数や追徴税額が軒並み減少傾向にある中、消費税還付法人への追徴税額が唯一前年を大きく上回っている。 国税庁のまとめによると、令和元事務年度に実施した法人消費税の実地調査は7万4千件(対前年比77.4%)。このうち4万4千件(同78.6%)から非違が見つかり、723億円(同90.4%)を追徴している。消費税還付申告法人について見ると、5838件(同89.1%)に実地調査を実施し、このうち707件の不正を含む3334件(同90.4%)から非違が見つかった。これによる追徴税額は前年比21.8%増の213億円(うち不正還付は25億円)。調査1件あたりの追徴税額は同36.7%増の7364万1千円となった。 今回調査で見つかったのは、国外への販売を装うため他人名義の輸出に関する書類を流用し、架空の輸出売上(免税取引)を計上するとともに架空の国内仕入(課税取引)を計上していたケースや、高額な固定資産の購入を装い架空の課税取引を計上していたケースなど。 消費税の不正還付は、いわば国庫金の詐取ともいえる悪質性の高い行為であるため、国税庁では今後もとくに厳正な調査を実施していくこととしている。 なお、法人税調査事績では、大口・悪質な不正計算等が想定される法人など調査必要度の高い法人7万6千件(対前年比77.1%)について実地調査を実施し、その結果、申告漏れ所得金額は7802億円(同56.5%)、追徴税額は2367億円(同86.3%)となっている。 不正事案を業種別でみると、不正発見割合では「バー・クラブ」が63.5%で18年連続のワースト1。次いで「その他の飲食」42.9%、「外国料理」42.3%と飲食業が占めている。また1件あたりの不正所得金額の大きさでみると、「その他の飲食料品小売」が5811万円でランク外からワースト1に。次いで「電子機器製造」5197万円、「建売、土地売買」4076万円と続く。
2020.12.03 15:28:59