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換金性のあるカフェテリアプランでないと判断、全部取消し

 いわゆるカフェテリアプランに設けられた人間ドック等の補助に係る経済的利益を巡って、プランが換金性のあるものであるか否か、つまり源泉徴収義務があるか否かの判断が争われた事件で国税不服審判所は、財形貯蓄補助金メニューが含まれていることをもって換金性のあるプランであることにはならないと判断して、原処分を全部取り消した。

 この事件は、審査請求人の被合併法人である製品等の開発、製造及び販売等を目的とする法人が、使用人に対する福利厚生の一環として設けたカフェテリアプランにおける人間ドック等補助メニューに係る経済的利益は給与等として課税されない経済的利益に当たると判断していたところ、原処分庁が使用人に付与するポイントには換金性があるという判断から、使用人がそのポイントを使用することによって受ける経済的利益はその全てが給与等として課税されると認定した上で、人間ドック等補助メニューに係る経済的利益について源泉所得税等の納税告知処分等をしてきたことが発端となった。

 つまり原処分庁側は、同カフェテリアプランには財形貯蓄補助金メニューが含まれているため換金性のあるプランと認められ、各経済的利益の全てが源泉所得税等の課税対象になるから、同法人には人間ドック等の補助に係る経済的利益について源泉徴収義務がある旨主張して、審査請求の棄却を求めたわけだ。

 これに対して裁決は、同プランにおいて、1)各使用人が各経済的利益として受ける額は、各使用人の職務上の地位や報酬額に比例して異なるものではなく、福利厚生費として社会通念上著しく多額であるとは認められない、2)財形貯蓄補助金メニューは、各使用人のうち一定の期間内に財形貯蓄をした使用人に対してその補助として金銭が支給されるものであり、何ら要件なく各使用人に付与されたポイントを金銭に換えることを内容とするものとは認められない、3)財形貯蓄補助金メニュー以外の各メニューも、一定の要件を充足しなければ補助等を受けられず、自由に品物を選択できるとか、何ら要件なく金銭や商品券等の支給を受けることを選択できることを内容とするものではなく、残ポイントがある場合はその残ポイントに相当する金銭が支給されるものでもないという事実認定から、同プランはポイントを現金に換えられるなど換金性のあるものとは認められず、各経済的利益は各使用人が選択した現に受ける補助等の内容に応じて課税対象となるか否か判断することになると指摘した。

 したがって、同法人には人間ドック等の補助に係る経済的利益について源泉徴収義務はないと判断、原処分の全部を取り消した。

(2020.02.20 国税不服審判所裁決)

提供元:21C・TFフォーラム(株式会社タックス・コム)

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 いわゆるカフェテリアプランに設けられた人間ドック等の補助に係る経済的利益を巡って、プランが換金性のあるものであるか否か、つまり源泉徴収義務があるか否かの判断が争われた事件で国税不服審判所は、財形貯蓄補助金メニューが含まれていることをもって換金性のあるプランであることにはならないと判断して、原処分を全部取り消した。 この事件は、審査請求人の被合併法人である製品等の開発、製造及び販売等を目的とする法人が、使用人に対する福利厚生の一環として設けたカフェテリアプランにおける人間ドック等補助メニューに係る経済的利益は給与等として課税されない経済的利益に当たると判断していたところ、原処分庁が使用人に付与するポイントには換金性があるという判断から、使用人がそのポイントを使用することによって受ける経済的利益はその全てが給与等として課税されると認定した上で、人間ドック等補助メニューに係る経済的利益について源泉所得税等の納税告知処分等をしてきたことが発端となった。 つまり原処分庁側は、同カフェテリアプランには財形貯蓄補助金メニューが含まれているため換金性のあるプランと認められ、各経済的利益の全てが源泉所得税等の課税対象になるから、同法人には人間ドック等の補助に係る経済的利益について源泉徴収義務がある旨主張して、審査請求の棄却を求めたわけだ。 これに対して裁決は、同プランにおいて、1)各使用人が各経済的利益として受ける額は、各使用人の職務上の地位や報酬額に比例して異なるものではなく、福利厚生費として社会通念上著しく多額であるとは認められない、2)財形貯蓄補助金メニューは、各使用人のうち一定の期間内に財形貯蓄をした使用人に対してその補助として金銭が支給されるものであり、何ら要件なく各使用人に付与されたポイントを金銭に換えることを内容とするものとは認められない、3)財形貯蓄補助金メニュー以外の各メニューも、一定の要件を充足しなければ補助等を受けられず、自由に品物を選択できるとか、何ら要件なく金銭や商品券等の支給を受けることを選択できることを内容とするものではなく、残ポイントがある場合はその残ポイントに相当する金銭が支給されるものでもないという事実認定から、同プランはポイントを現金に換えられるなど換金性のあるものとは認められず、各経済的利益は各使用人が選択した現に受ける補助等の内容に応じて課税対象となるか否か判断することになると指摘した。 したがって、同法人には人間ドック等の補助に係る経済的利益について源泉徴収義務はないと判断、原処分の全部を取り消した。(2020.02.20 国税不服審判所裁決)提供元:21C・TFフォーラム(株式会社タックス・コム)
2020.11.20 16:33:49