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オーナー企業の内部留保 体力ある中小も免除に 会計検査院が400社を指摘

 オーナー企業などの内部留保に対する課税の免除を巡り、課税対象の企業より経営体力があっても免除されている会社が約400社あることを会計検査院が突き止めた。課税の公平性が損なわれている可能性が高く、会計検査院は財務省に制度の見直しを含めた対処を求める考えだ。
 所得から法人税などを除いた企業内部の留保金に10~20%を課税する制度は、オーナー一族などが株式の過半を持ち、資本金が1億円超の企業が対象になっている。利益を内部にため込み、税の負担を不当に逃れるのを防ぐ仕組みだ。一方で1億円以下の企業については、資金調達に配慮して財務基盤を強化するため、2007年度の税制改正で制度の対象から外れた経緯がある。
 会計検査院は、資本金が1億円以下で、少数の株主に支配されている会社のうち約1万6千社を抽出。課税対象となっている会社と財務基盤などを比較したところ、約400社は自己資本比率と純資産が実質的に変わらなかったり、上回ったりしていたことが発覚。「財務基盤などを踏まえると本来は課税対象になるべき中小企業が、資本金額など外形的な基準だけで対象外になっている」と判断した。このうち約370社について、17年度の留保金に課税すれば約315億円を徴収できるという試算も打ち出した。
 中小企業に対する税の優遇措置は、これまでも適用のあり方が問題視されてきた。留保金課税の免除や法人税の軽減税率適用を狙い、あえて中小規模を装うケースも珍しくない。企業の実態は資本金の額だけでは把握しづらくなっており、財務省が制度の改正に向けた検討を進めている。

提供元:エヌピー通信社

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 オーナー企業などの内部留保に対する課税の免除を巡り、課税対象の企業より経営体力があっても免除されている会社が約400社あることを会計検査院が突き止めた。課税の公平性が損なわれている可能性が高く、会計検査院は財務省に制度の見直しを含めた対処を求める考えだ。 所得から法人税などを除いた企業内部の留保金に10~20%を課税する制度は、オーナー一族などが株式の過半を持ち、資本金が1億円超の企業が対象になっている。利益を内部にため込み、税の負担を不当に逃れるのを防ぐ仕組みだ。一方で1億円以下の企業については、資金調達に配慮して財務基盤を強化するため、2007年度の税制改正で制度の対象から外れた経緯がある。 会計検査院は、資本金が1億円以下で、少数の株主に支配されている会社のうち約1万6千社を抽出。課税対象となっている会社と財務基盤などを比較したところ、約400社は自己資本比率と純資産が実質的に変わらなかったり、上回ったりしていたことが発覚。「財務基盤などを踏まえると本来は課税対象になるべき中小企業が、資本金額など外形的な基準だけで対象外になっている」と判断した。このうち約370社について、17年度の留保金に課税すれば約315億円を徴収できるという試算も打ち出した。 中小企業に対する税の優遇措置は、これまでも適用のあり方が問題視されてきた。留保金課税の免除や法人税の軽減税率適用を狙い、あえて中小規模を装うケースも珍しくない。企業の実態は資本金の額だけでは把握しづらくなっており、財務省が制度の改正に向けた検討を進めている。提供元:エヌピー通信社
2020.10.15 15:04:21