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消費増税発言で大慌て ビジョン見えぬ新政権

 菅義偉新首相は自民党総裁選期間中の9月10日、将来的な消費税増税の必要性に言及し注目を集めた。持続可能な社会保障制度に向けた問題意識を示したとみられるが、翌日には発言を軌道修正。社会保障改革に関して明確なビジョンを持っているのか、期待と不安が交錯している。
 菅氏は10日に出演したテレビ番組で、「消費税は将来的に10%より引き上げる必要はあるか」と問われ「人口減少は避けられない。行政改革を徹底して行った上で、将来的には引き上げざるを得ない」と発言した。
 約800万人の団塊世代が75歳以上になり、国民の3人に1人は65歳以上になる「2025年」問題が目前に迫る。65歳以上が約4000万人に達し社会保障費が今より1.6倍になるとされる「2040年」問題も控え、長期的に社会保障財源の見通しをつけることは大きな課題だ。霞が関では「国民負担を正面から取り上げた」と期待値が上がった。
 ただ、消費税は昨年10月に増税されたばかり。低所得層ほど負担感が増す「逆進性」への批判は根強く、ネット上では「先に議員の数を減らすべきだ」などと不満が渦巻く。菅支持の国会議員も「不用意すぎる」と突き放した。
 菅氏は11日の会見で、昨年7月の安倍首相の発言同様、「今後10年は消費増税する必要はない」と修正に追い込まれた。
 菅氏は携帯電話料金の値下げやビザ要件緩和によるインバウンド誘致など個別分野で改革志向を発揮してきたが、長期的な視野で複雑な利害を調整する必要がある社会保障分野の手腕は未知数だ。コロナ禍で雇用や賃金が不安定化すれば、個人も企業も社会保障負担への不満が蓄積し、政権基盤を脅かす恐れがある。ただでさえ財政事情が逼迫する中、難しい舵取りが求められる。

提供元:エヌピー通信社

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 菅義偉新首相は自民党総裁選期間中の9月10日、将来的な消費税増税の必要性に言及し注目を集めた。持続可能な社会保障制度に向けた問題意識を示したとみられるが、翌日には発言を軌道修正。社会保障改革に関して明確なビジョンを持っているのか、期待と不安が交錯している。 菅氏は10日に出演したテレビ番組で、「消費税は将来的に10%より引き上げる必要はあるか」と問われ「人口減少は避けられない。行政改革を徹底して行った上で、将来的には引き上げざるを得ない」と発言した。 約800万人の団塊世代が75歳以上になり、国民の3人に1人は65歳以上になる「2025年」問題が目前に迫る。65歳以上が約4000万人に達し社会保障費が今より1.6倍になるとされる「2040年」問題も控え、長期的に社会保障財源の見通しをつけることは大きな課題だ。霞が関では「国民負担を正面から取り上げた」と期待値が上がった。 ただ、消費税は昨年10月に増税されたばかり。低所得層ほど負担感が増す「逆進性」への批判は根強く、ネット上では「先に議員の数を減らすべきだ」などと不満が渦巻く。菅支持の国会議員も「不用意すぎる」と突き放した。 菅氏は11日の会見で、昨年7月の安倍首相の発言同様、「今後10年は消費増税する必要はない」と修正に追い込まれた。 菅氏は携帯電話料金の値下げやビザ要件緩和によるインバウンド誘致など個別分野で改革志向を発揮してきたが、長期的な視野で複雑な利害を調整する必要がある社会保障分野の手腕は未知数だ。コロナ禍で雇用や賃金が不安定化すれば、個人も企業も社会保障負担への不満が蓄積し、政権基盤を脅かす恐れがある。ただでさえ財政事情が逼迫する中、難しい舵取りが求められる。提供元:エヌピー通信社
2020.09.17 16:44:17