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固定資産税の過大徴収 返還求め大阪市を集団提訴 ずさんな課税 相次ぎ露呈

 大阪市内に土地を所有する個人11人と法人2社が、市の計算ミスによって20年間にわたり固定資産税を過大に徴収されたとして、総額約1億円の損害賠償を求めて大阪地裁に訴えた。土地の上に建物を建てる際の制限となる「容積率」を巡る減額補正が正確に適用されていなかったことが過大徴収の理由だという。大阪市は6月にも、過去の固定資産税の過大徴収を巡り総額70億円超の還付を決定したばかりで、ずさんな計算による課税の実態がここにきて次々と露呈している。
 容積率とは、土地の面積に対して建てられる建物の延べ床面積の割合のことだ。都市計画によって地域ごとに上限が定められ、例えば住宅街などでは大きすぎるビルは建てられないようになっている。
 一つの土地に異なる容積率が混在する場合、原則として固定資産税では上限が高いほうの路線価を基に税額を計算するが、実際に建物を建てる場合には低いほうの上限も考慮しなければならないため、利用価値と評価額がかい離する恐れがある。そのため大阪市では、土地の実態に応じて固定資産税の評価額を最大で3割超減額できる特例を定めていた。
 しかし「新御堂筋」や「長居公園通」といった幹線道路沿いにある原告らの土地では、過去少なくとも20年にわたって特例が適用されず、過大な固定資産税や都市計画税を徴収されていたという。土地所有者の顧問先である税理士法人の調査によって明らかになった。
 所有者らが2018年以降に市に申し出たところ、市は地方税法に定める還付の時効である5年に従い、過去5年の過大徴収分を返還したというが、所有者らは、市が調査を怠っていたことが原因であるとして、国家賠償法の時効である20年分、約1億円の返還を求めて今回の訴訟に踏み切った。所有者側の代理人弁護士は「他にも被害者がいるのではないか」と話し、今後他のケースが判明すれば2次訴訟も検討するという。

還付利息も税金で充当

 同市では、7月に固定資産税の独自計算ルールを巡る裁判で敗れ、総額70億円を超える還付が決定したばかりだ。同様の過大徴収は全国で発生していて、大阪市だけの問題ではないとはいえ、還付にかかる利息も税金を充てることとなり、ずさんな課税を放置してきたツケを納税者に回す罪は重いと言わざるを得ない。
 今回の訴訟を受け、大阪市の担当者は「市内全域で過大徴収が何件あるか把握していない」と話しているといい、課税ミスの全容を市もつかみきれていない実態が浮かび上がる。
 所得税や法人税は納税者自身が税額を計算して納付する「申告納税方式」を採っているが、固定資産税は、自治体が計算した税額を納税者に通知し、納税者は通知書に書かれたとおりに納めるという「賦課課税方式」だ。そのため納税者側は計算ミスに気付きにくい。
 自治体は定期的な現況調査や固定資産台帳の突き合わせによって正確な税額を算定する責任を負うが、実際には数年ごとに担当者が異動してしまうこともあり、引き継ぎもされないまま、一度算定された税額がチェックされずに放置されることも多い。計算間違いの原因自体は減額特例の適用漏れや、コンピューターへの入力ミスなど単純なものでも、それが長年修正されずに放置される行政の体質が問題を大きくしていると言える。
 過大徴収のなかには20年を超える長期間にわたるものも多く、それらは国家賠償法や条例によってすべてを返還しきれず、納税者が泣き寝入りをせざるを得ないことも多い。

提供元:エヌピー通信社

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8月10日更新

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 大阪市内に土地を所有する個人11人と法人2社が、市の計算ミスによって20年間にわたり固定資産税を過大に徴収されたとして、総額約1億円の損害賠償を求めて大阪地裁に訴えた。土地の上に建物を建てる際の制限となる「容積率」を巡る減額補正が正確に適用されていなかったことが過大徴収の理由だという。大阪市は6月にも、過去の固定資産税の過大徴収を巡り総額70億円超の還付を決定したばかりで、ずさんな計算による課税の実態がここにきて次々と露呈している。 容積率とは、土地の面積に対して建てられる建物の延べ床面積の割合のことだ。都市計画によって地域ごとに上限が定められ、例えば住宅街などでは大きすぎるビルは建てられないようになっている。 一つの土地に異なる容積率が混在する場合、原則として固定資産税では上限が高いほうの路線価を基に税額を計算するが、実際に建物を建てる場合には低いほうの上限も考慮しなければならないため、利用価値と評価額がかい離する恐れがある。そのため大阪市では、土地の実態に応じて固定資産税の評価額を最大で3割超減額できる特例を定めていた。 しかし「新御堂筋」や「長居公園通」といった幹線道路沿いにある原告らの土地では、過去少なくとも20年にわたって特例が適用されず、過大な固定資産税や都市計画税を徴収されていたという。土地所有者の顧問先である税理士法人の調査によって明らかになった。 所有者らが2018年以降に市に申し出たところ、市は地方税法に定める還付の時効である5年に従い、過去5年の過大徴収分を返還したというが、所有者らは、市が調査を怠っていたことが原因であるとして、国家賠償法の時効である20年分、約1億円の返還を求めて今回の訴訟に踏み切った。所有者側の代理人弁護士は「他にも被害者がいるのではないか」と話し、今後他のケースが判明すれば2次訴訟も検討するという。
2020.07.30 16:21:12