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国税庁、イベント中止の払戻し税務で通達

 新型コロナウイルスの影響でコンサートやスポーツ等のイベントが中止となるケースが後を立たないが、前払いしたチケットの払戻しをめぐる税務上の取扱いについて国税庁がこのほど詳細な内容を公表した。

 今年4月30日、新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための国税関係法律の臨時特例に関する法律(新型コロナ税特法)が公布及び施行されたところだが、これに伴い国税庁は6月29日、「新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための国税関係法律の臨時特例に関する法律関係通達(所得税編)」を定め、公表した。通達は国税庁や税務署の職員を拘束するものだが、職員が拘束されることで一般納税者にも間接的に影響が及ぶ。

 新型コロナ税特法では、「芸術文化・スポーツイベントの中止等に係る所得税の寄附金控除の特例」として、政府の自粛要請を踏まえて文化芸術・スポーツに係る一定のイベント等を中止等した主催者に対して、観客等が入場料等の払戻請求権を放棄した場合には、その放棄した金額(上限20万円)について寄附金控除を適用することとしている。

 同通達は、「指定行事の中止等により生じた権利を放棄した場合の寄附金控除又は所得税額の特別控除の特例」について、所得税の寄附金控除と、租税特別措置法の「公益社団法人等に寄附をした場合の所得税額の特別控除」のいずれを適用するかの選択は、その年中の放棄払戻請求権相当額及び特定放棄払戻請求権相当額の全額についてしなければならないことに留意するとしている。

 また、放棄払戻請求権相当額等についての寄附金控除又は所得税額の特別控除の特例の適用について、特定放棄払戻請求権相当額が寄附金控除の適用を受けることができる場合、同項又は新型コロナ税特法第5条第3項のいずれの規定の適用を受けるかの選択は、特定放棄払戻請求権相当額ごとにすることができることに留意するとしている。

 このほか同通達では、住宅ローン控除を適用している納税者が新型コロナウイルスの影響で期日までに「居住の用」に供することができないケースについて、特例対象となる具体的な事例を提示。建設業者が営業自粛等していたことなどにより工事完了や家屋の引渡しが遅延したケース、納税者本人がコロナウイルスに感染または外出自粛をしていたこと等により「居住の用」に供することが遅れたケースなどが挙げられている。

新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための国税関係法律の臨時特例に関する法律関係通達(所得税編)について

提供元:21C・TFフォーラム(株式会社タックス・コム)

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 新型コロナウイルスの影響でコンサートやスポーツ等のイベントが中止となるケースが後を立たないが、前払いしたチケットの払戻しをめぐる税務上の取扱いについて国税庁がこのほど詳細な内容を公表した。 今年4月30日、新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための国税関係法律の臨時特例に関する法律(新型コロナ税特法)が公布及び施行されたところだが、これに伴い国税庁は6月29日、「新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための国税関係法律の臨時特例に関する法律関係通達(所得税編)」を定め、公表した。通達は国税庁や税務署の職員を拘束するものだが、職員が拘束されることで一般納税者にも間接的に影響が及ぶ。 新型コロナ税特法では、「芸術文化・スポーツイベントの中止等に係る所得税の寄附金控除の特例」として、政府の自粛要請を踏まえて文化芸術・スポーツに係る一定のイベント等を中止等した主催者に対して、観客等が入場料等の払戻請求権を放棄した場合には、その放棄した金額(上限20万円)について寄附金控除を適用することとしている。 同通達は、「指定行事の中止等により生じた権利を放棄した場合の寄附金控除又は所得税額の特別控除の特例」について、所得税の寄附金控除と、租税特別措置法の「公益社団法人等に寄附をした場合の所得税額の特別控除」のいずれを適用するかの選択は、その年中の放棄払戻請求権相当額及び特定放棄払戻請求権相当額の全額についてしなければならないことに留意するとしている。 また、放棄払戻請求権相当額等についての寄附金控除又は所得税額の特別控除の特例の適用について、特定放棄払戻請求権相当額が寄附金控除の適用を受けることができる場合、同項又は新型コロナ税特法第5条第3項のいずれの規定の適用を受けるかの選択は、特定放棄払戻請求権相当額ごとにすることができることに留意するとしている。 このほか同通達では、住宅ローン控除を適用している納税者が新型コロナウイルスの影響で期日までに「居住の用」に供することができないケースについて、特例対象となる具体的な事例を提示。建設業者が営業自粛等していたことなどにより工事完了や家屋の引渡しが遅延したケース、納税者本人がコロナウイルスに感染または外出自粛をしていたこと等により「居住の用」に供することが遅れたケースなどが挙げられている。
2020.07.01 16:36:18