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特別交付税の減額巡り 泉佐野市が国を提訴 "逆転勝訴"控え一転攻勢

 ふるさと納税制度で多額の寄付を集めたことを理由に特別交付税を減額したのは違法だとして、大阪府泉佐野市(千代松大耕市長)は6月8日、国を相手取って減額の取り消しを求める訴えを大阪地裁に起こした。同市はふるさと納税制度からの除外を巡っても国と係争中で、国の勝訴とした高裁判決を取り消すための弁論が最高裁で開かれたばかりだ。30日に下される"勝訴判決"を見据え、一転攻勢に出る狙いとみられる。
 特別交付税は、財政基盤の弱い自治体の財源を国が補てんする制度。泉佐野市にも2018年度までは約5億円が交付されていたが、19年度の同市に対する特別交付税は約5千万円と前年より4億円以上減額された。その理由は、交付決定直前に行われた「配分はふるさと納税の収入を加味する」とした新ルールが導入されたためだ。
 同市はこれに対して、「省令を都合よく改正して、国に従わない自治体を狙い撃ちにした」と猛反発した。市によれば、ふるさと納税の寄付金は使途を指定されているものが多いため減額分の穴埋めに転用はできず、地域の病院の運営費に充てられるはずだった交付税は「地域住民の生命と健康を守るための費用だった」という。同市は不服審査を総務省に申し立てたが、今年1月に、交付額の金額の算定に対する不服は審査の対象外にならないとして却下されたため、法的手段に訴えることを検討していた。
 そこで同市の背中を後押ししたのが、こちらも法廷闘争に発展していた「ふるさと納税」を巡る裁判だ。こちらでは、返礼品ルールに従わない自治体をふるさと納税制度から排除するとした総務省の告示が総務相に与えられた裁量権の範囲内なのかが争われ、今年1月に国の決定は正当とする高裁判決が出ていた。
 しかし泉佐野市の上告を受けた最高裁が6月2日、双方の主張を聞く弁論を開催したことから風向きが一変した。弁論は二審判決を見直すために必要な手続きであることから、30日の判決では国側の勝訴とした大阪高裁の判決が覆される可能性が高い。ふるさと納税を巡る裁判で「逆転勝訴」が濃厚になったことを受け、特別交付税の減額を巡っても勝算があると泉佐野市は考えたとみられる。総務省は「訴状が届いていないのでコメントできない」としている。

提供元:エヌピー通信社

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 ふるさと納税制度で多額の寄付を集めたことを理由に特別交付税を減額したのは違法だとして、大阪府泉佐野市(千代松大耕市長)は6月8日、国を相手取って減額の取り消しを求める訴えを大阪地裁に起こした。同市はふるさと納税制度からの除外を巡っても国と係争中で、国の勝訴とした高裁判決を取り消すための弁論が最高裁で開かれたばかりだ。30日に下される"勝訴判決"を見据え、一転攻勢に出る狙いとみられる。 特別交付税は、財政基盤の弱い自治体の財源を国が補てんする制度。泉佐野市にも2018年度までは約5億円が交付されていたが、19年度の同市に対する特別交付税は約5千万円と前年より4億円以上減額された。その理由は、交付決定直前に行われた「配分はふるさと納税の収入を加味する」とした新ルールが導入されたためだ。 同市はこれに対して、「省令を都合よく改正して、国に従わない自治体を狙い撃ちにした」と猛反発した。市によれば、ふるさと納税の寄付金は使途を指定されているものが多いため減額分の穴埋めに転用はできず、地域の病院の運営費に充てられるはずだった交付税は「地域住民の生命と健康を守るための費用だった」という。同市は不服審査を総務省に申し立てたが、今年1月に、交付額の金額の算定に対する不服は審査の対象外にならないとして却下されたため、法的手段に訴えることを検討していた。 そこで同市の背中を後押ししたのが、こちらも法廷闘争に発展していた「ふるさと納税」を巡る裁判だ。こちらでは、返礼品ルールに従わない自治体をふるさと納税制度から排除するとした総務省の告示が総務相に与えられた裁量権の範囲内なのかが争われ、今年1月に国の決定は正当とする高裁判決が出ていた。 しかし泉佐野市の上告を受けた最高裁が6月2日、双方の主張を聞く弁論を開催したことから風向きが一変した。弁論は二審判決を見直すために必要な手続きであることから、30日の判決では国側の勝訴とした大阪高裁の判決が覆される可能性が高い。ふるさと納税を巡る裁判で「逆転勝訴」が濃厚になったことを受け、特別交付税の減額を巡っても勝算があると泉佐野市は考えたとみられる。総務省は「訴状が届いていないのでコメントできない」としている。提供元:エヌピー通信社
2020.06.11 16:41:47