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グループ通算制度でQ&Aを公表~国税庁

 国税庁は6月3日、「グループ通算制度に関するQ&A」をホームページに公表した。令和2年度税制改正では、現行の連結納税制度に対して、税額計算が煩雑であることや、税務調査後の修正・更正等に時間がかかり過ぎるといった指摘があり、損益通算のメリットがあるにもかかわらず、制度を利用していない企業グループもが多く存在したことを背景に制度を抜本的に見直し、グループ通算制度を創設した。

 企業グループ全体を一つの納税単位として親法人が申告・納税する現行制度から、損益通算を残したうえで親・子法人がそれぞれ個別に納税申告をする制度に変更したのがポイント。Q&Aでは、適用対象法人や通算制度の承認、申告・納付など全部で43の質問・回答が掲載されている。

 たとえば、連結法人の通算制度への移行については、連結納税制度の適用を受けている法人の場合、通算制度の承認があったものとみなされ、令和4年4月1日以後最初に開始する事業年度から通算制度の適用を受けることになっているが、事業年度開始の日の前日までに親法人が税務署長に届出書を提出した場合、親・子法人は通算制度を適用しない法人になるとともに、連結納税制度の適用もされないため、親・子法人は、連結納税制度及び通算制度のいずれも適用しない法人として申告することになると説明。

 事後の税務調査により損益通算前の所得の金額が当初(期限内)申告と異なることとなった場合の通算法人の損益通算の計算については、原則として、損益通算に係る損金算入額又は益金算入額は期限内申告の金額に固定して、その通算法人の所得の金額を計算するが、通算法人の全てに期限内申告において所得金額が零又は欠損金額があるなど一定の要件に該当する場合には、通算グループ内の全法人が損益通算を再計算(全体再計算)することとなる。

 そのほか、欠損金の繰越期間に対する制限を潜脱するためや、離脱法人に欠損金を帰属させるために、あえて誤った期限内申告を行うなど、法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるときは、税務署長は、損益通算を適用(全体再計算)することができるとした。

 通算制度での消費税等の経理処理については、グループ内の各法人の経理処理方法を統一することまでは求められていないため、通算法人ごとに税抜・税込又は併用のいずれかの経理方法により処理することが認められているとしている。

グループ通算制度に関するQ&Aについて

提供元:21C・TFフォーラム(株式会社タックス・コム)

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 国税庁は6月3日、「グループ通算制度に関するQ&A」をホームページに公表した。令和2年度税制改正では、現行の連結納税制度に対して、税額計算が煩雑であることや、税務調査後の修正・更正等に時間がかかり過ぎるといった指摘があり、損益通算のメリットがあるにもかかわらず、制度を利用していない企業グループもが多く存在したことを背景に制度を抜本的に見直し、グループ通算制度を創設した。 企業グループ全体を一つの納税単位として親法人が申告・納税する現行制度から、損益通算を残したうえで親・子法人がそれぞれ個別に納税申告をする制度に変更したのがポイント。Q&Aでは、適用対象法人や通算制度の承認、申告・納付など全部で43の質問・回答が掲載されている。 たとえば、連結法人の通算制度への移行については、連結納税制度の適用を受けている法人の場合、通算制度の承認があったものとみなされ、令和4年4月1日以後最初に開始する事業年度から通算制度の適用を受けることになっているが、事業年度開始の日の前日までに親法人が税務署長に届出書を提出した場合、親・子法人は通算制度を適用しない法人になるとともに、連結納税制度の適用もされないため、親・子法人は、連結納税制度及び通算制度のいずれも適用しない法人として申告することになると説明。 事後の税務調査により損益通算前の所得の金額が当初(期限内)申告と異なることとなった場合の通算法人の損益通算の計算については、原則として、損益通算に係る損金算入額又は益金算入額は期限内申告の金額に固定して、その通算法人の所得の金額を計算するが、通算法人の全てに期限内申告において所得金額が零又は欠損金額があるなど一定の要件に該当する場合には、通算グループ内の全法人が損益通算を再計算(全体再計算)することとなる。 そのほか、欠損金の繰越期間に対する制限を潜脱するためや、離脱法人に欠損金を帰属させるために、あえて誤った期限内申告を行うなど、法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるときは、税務署長は、損益通算を適用(全体再計算)することができるとした。 通算制度での消費税等の経理処理については、グループ内の各法人の経理処理方法を統一することまでは求められていないため、通算法人ごとに税抜・税込又は併用のいずれかの経理方法により処理することが認められているとしている。
2020.06.04 16:12:59