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借地権を無償返還する事情がないと判断、借地権の存在を認定

 相続した土地の評価を巡って、いわゆる相当地代通達を適用すべきか否かの判断が争われた事件で国税不服審判所は、同族会社が所有する建物の敷地はその法人が医療法人から転貸されたものではなく、直接、被相続人らから借りているものと認定した上で、将来、その会社が敷地に係る借地権を無償で返還するというような特別な事情も存在しないことを理由に借地権の存在を認めるのが相当と判断し、それぞれの請求人ごとの申告内容に応じて全部取消し、一部取消し、さらに棄却する旨の裁決を言い渡した。

 この事件は、被相続人の妻と子の計4人(審査請求人)が、亡父より相続した宅地の価額を、法人に賃貸している土地は借地権の価額を控除した後の価額によることが相当であると判断して相続税の申告をしたのが発端。

 これに対して原処分庁が、その土地の一部については土地の「無償返還届出書」が提出されていることを理由に、無償返還届出書の提出があった場合の貸宅地の評価の定めにより評価した金額によることが相当であると判断して更正処分等をしてきた。そこで請求人らが、再調査の請求の後、無償返還届出書の記載内容に誤りがあるから無効であるなどを理由に、更正処分等の全部取消しを求めて審査請求したという事案である。

 原処分庁側が、無償返還届出書は有効であり、評価対象地は相当地代通達8によって評価すべきであると主張して審査請求の棄却を求めたのに対し、請求人側は無償返還届出書には重大な瑕疵があって無効であるから、評価通達25の定めに従って評価すべきであると主張して原処分の全部取消しを求めたわけだ。

 裁決は、原処分庁が、同族会社が所有する建物の敷地を含む全ての土地を医療法人に賃貸しているから、敷地は医療法人が同族会社に転貸したものであり、また被相続人及び医療法人は土地の無償返還届出書を原処分庁へ提出しているのであるから、敷地の評価は自用地としての価額の80%で評価することになる旨主張したことに対し、同族会社は権利金の支払いはしていないものの、敷地の上に建物を建築した後、直接、被相続人らから無償又は有償で敷地を借りていたと認定、また同族会社が被相続人らに対し、将来、敷地に係る借地権を無償で返還するというような特別の事情も存しないことからすれば、敷地に同族会社の借地権が存すると認めるのが相当であると判断した。

 結果的に、請求人の1人に係る更正処分は適法と判断したが、もう1人の請求人に係る更正処分は申告した納付税額を下回るから違法と判断して全部取消し、さらにもう1人の請求人に係る更正処分は、更正処分の納付税額を下回るという判断から一部取消しという裁決結果になっている。

                       (2019.8.19国税不服審判所裁決)

提供元:21C・TFフォーラム(株式会社タックス・コム)

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6月1日更新

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 相続した土地の評価を巡って、いわゆる相当地代通達を適用すべきか否かの判断が争われた事件で国税不服審判所は、同族会社が所有する建物の敷地はその法人が医療法人から転貸されたものではなく、直接、被相続人らから借りているものと認定した上で、将来、その会社が敷地に係る借地権を無償で返還するというような特別な事情も存在しないことを理由に借地権の存在を認めるのが相当と判断し、それぞれの請求人ごとの申告内容に応じて全部取消し、一部取消し、さらに棄却する旨の裁決を言い渡した。 この事件は、被相続人の妻と子の計4人(審査請求人)が、亡父より相続した宅地の価額を、法人に賃貸している土地は借地権の価額を控除した後の価額によることが相当であると判断して相続税の申告をしたのが発端。 これに対して原処分庁が、その土地の一部については土地の「無償返還届出書」が提出されていることを理由に、無償返還届出書の提出があった場合の貸宅地の評価の定めにより評価した金額によることが相当であると判断して更正処分等をしてきた。そこで請求人らが、再調査の請求の後、無償返還届出書の記載内容に誤りがあるから無効であるなどを理由に、更正処分等の全部取消しを求めて審査請求したという事案である。 原処分庁側が、無償返還届出書は有効であり、評価対象地は相当地代通達8によって評価すべきであると主張して審査請求の棄却を求めたのに対し、請求人側は無償返還届出書には重大な瑕疵があって無効であるから、評価通達25の定めに従って評価すべきであると主張して原処分の全部取消しを求めたわけだ。 裁決は、原処分庁が、同族会社が所有する建物の敷地を含む全ての土地を医療法人に賃貸しているから、敷地は医療法人が同族会社に転貸したものであり、また被相続人及び医療法人は土地の無償返還届出書を原処分庁へ提出しているのであるから、敷地の評価は自用地としての価額の80%で評価することになる旨主張したことに対し、同族会社は権利金の支払いはしていないものの、敷地の上に建物を建築した後、直接、被相続人らから無償又は有償で敷地を借りていたと認定、また同族会社が被相続人らに対し、将来、敷地に係る借地権を無償で返還するというような特別の事情も存しないことからすれば、敷地に同族会社の借地権が存すると認めるのが相当であると判断した。 結果的に、請求人の1人に係る更正処分は適法と判断したが、もう1人の請求人に係る更正処分は申告した納付税額を下回るから違法と判断して全部取消し、さらにもう1人の請求人に係る更正処分は、更正処分の納付税額を下回るという判断から一部取消しという裁決結果になっている。                       (2019.8.19国税不服審判所裁決)提供元:21C・TFフォーラム(株式会社タックス・コム)
2020.05.27 13:23:56