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約定違約金は確実な債務に該当すると判断、原処分庁側の主張を棄却

 被相続人が生前に解除した建築請負契約に基づく約定違約金は確実な債務に該当するか否かの判断が争われた事件で国税不服審判所は、相続開始日に現に存し、その履行を免れないものであり、原処分庁が指摘する審査請求人らが支払いを拒否して係争中であったことをもって約定違約金の支払義務が消滅等するものではないから、履行が確実な債務であったと認めるのが相当であると判断、原処分庁側の主張を斥けた。

 この事件は、共同相続人である4人の審査請求が、被相続人が生前に解除した建築工事請負契約に基づく約定違約金等を相続税の課税価格から控除すべき債務に当たると判断して、相続税の申告及び更正の請求をしたのが発端になったもの。これに対して原処分庁が、約定違約金等は相続開始日において履行が確実であった債務には当たらないと判断して、更正をすべき理由がない旨の通知処分並びに更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分をしてきたことから、請求人らがその一部取消しを求めて審査請求したという事案である。

 原処分庁側は、1)被相続人は違約金残金を支払う意思がなかったこと、及び2)被相続人の共同相続人である請求人らも違約金残金の支払いを拒否して係争中であったこと――などを理由に挙げて、違約金残金は確実と認められる債務には当たらない旨主張して、審査請求の棄却を求めた。

 これに対して裁決はまず、相続税法13条1項が、相続により取得した財産の課税価格に算入すべき価額は、その財産の価額から被相続人の債務で相続開始の際現に存するもののうち、その相続により財産を取得した者の負担に属する部分の金額を控除した金額による旨規定し、同法14条1項が、同法13条1項に基づいてその金額を控除すべき債務は確実と認められるものに限る旨規定していると指摘した上で、確実と認められる債務とは、相続開始当時の現況に照らし、債務が現に存するとともに、その履行が確実と認められるものをいうと解釈した。

 その上で、相続税法14条の法意である「債務が現に存するとともに、その履行が確実と認められるもの」の解釈を踏まえれば、この事案の違約金残金のように法的に履行を強制される債務について、債務者の履行の意思によってその「確実性」の判断を異にするものとは解されず、また、違約金の支払いを拒否するための訴訟は、請求元の法人が請求人らに違約金残金等の支払いを求めるものであるのに対し、反訴は、請求人らが違約金残金そのものの債務不存在を主張するものではなく、請負契約を締結する前の請求元の法人側の説明義務違反等を理由に損害賠償を求めるものであり、訴訟と反訴が同一の訴訟手続の中で審理されているとしても、そのことをもって違約金残金の支払義務が消滅したり、履行の確実性が失われたりするものではないと判断、原処分庁側の主張はいずれも採用できないとして斥けた。

(2019.04.19国税不服審判所裁決)

提供元:21C・TFフォーラム(株式会社タックス・コム)

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2020.03.17 16:33:05